[原子力産業新聞] 2006年3月16日 第2323号 <2面>

[総合科学技術会議] 原子力の戦略重点は4課題 FBRは国家基幹技術に

 総合科学技術会議のエネルギー分野推進戦略プロジェクトチーム(PT)は10日、今後5年間に重点的予算配分を行う同分野の戦略重点科学技術として14課題を決定、うち原子力関係は次世代軽水炉、FBR、地層処分、核融合など4課題となった。同PTの親委員会である基本政策専門調査会は15日の会合でこれを了承。FBRは国主導で取り組む大規模プロジェクトである国家基幹技術に選定される見通し。

 同PTでは関係省庁からのヒアリングなどにより、前会合で重要な研究開発課題として39課題をリストアップ。その後WGで検討、戦略重点科学技術を14課題に絞り、今会合でこれを了承した。原子力分野の重要な研究開発課題は次世代軽水炉、FBR、濃縮、再処理、地層処分、廃止措置、核融合、核不拡散、高温ガス炉の9課題。

 次世代軽水炉では安全性・経済性に優れ世界に普及することを掲げ、30年前後から始まる国内の代替炉建設需要をにらみ、メーカー主導で官民一体により世界最高水準炉を開発。地層処分技術は30年代半ばを目途に最終処分開始を目指し、信頼性の向上や安全評価手法の高度化に向けた開発を推進。FBRは15年までに将来の軽水炉と比肩する安全性・経済性を有する開発計画を提示し、50年頃から商業ベースでの導入を目指す。また核融合はITERの建設・運転やこれに連携した幅広いアプローチを行う。

 同PTではエネルギー分野の戦略重点科学技術を選定する基本戦略として、@世界一の省エネ国家となる更なる挑戦A運輸部門を中心とした石油依存からの脱却B基幹エネルギーとしての原子力の推進―という3戦略を示した。

 第3期科学技術基本計画では重点推進4分野とエネルギー分野を含む推進4分野の各PTが戦略を策定。これを受けて開催された基本政策専門調査会では、8分野の戦略を了承。併せて特に予算面で他の戦略重点科学技術に対して優遇はないが、国主導で取り組むべき大規模プロジェクト、安全保障上重要、などの観点から選定される国家基幹技術には次世代スーパーコンピュータ、海洋地球観測探査システム、FBRサイクル技術、宇宙輸送システムの4課題を候補とした。総合科学技術会議の本会議は今月22日に開催、同計画を正式決定する。


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