中学理科教員が福島第一を視察 参加者より、次世代への責務など感想

中学理科教員の自主活動組織である全国中学校理科教育研究会(全中理)のリーダー教員5名が6月25日、東京電力福島第一原子力発電所を視察した。教員として、復興に向けてオールジャパンで取り組まなければならないことを生徒に伝えるため、事故収束作業に従事している方々の想いを直に肌で感じることが不可欠との気持ちから実現に至った。

視察に参加した教員のうち、2名より、感想が寄せられた。

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立入規制区域内をバスで移動している道路脇には、雑草が生い茂った田畑があった。放置されたままの崩れた家があった。人が立ち入ることができないために、3年たった今も全く手が付けられていない状況があった。また、いたるところに除染作業で発生した廃棄物がまとめられており、この廃棄物の処理が進んでいない状況もあった。

復興作業の拠点となっているJビレッジの玄関前には0.34マイクロSvを示す線量計があり、入口付近には全国から作業される方々への応援メッセージが表示されていた。横を作業員の方が次から次へと出入りしており、多くの方々が復旧作業に携わっていることを感じた。

原発敷地内は、バスで通過する場所は思いの外、低線量だったが、部分的に高いところもあり、復旧作業をしている方々の作業環境が心配された。線量を下げれば、被曝からの防護に対する装備や心身への負担が減り、より効率的に作業が進められると思い、素人考えだが作業環境整備として敷地内の除染をもっと徹底しても良いのではと感じた。

この復興作業は、私たち人類が初めて経験する大きな問題であり解決しなければならない難題が山積していると思うが、必ず解決していかなければならない課題だ。

このような状況をもとに戻すこと、人々が福島に戻ることができるようにすること、そのために、例えば全国で廃棄物の受入れを行ったり、放射線に対するしっかりとした理解を進めたりするなど、今後、日本が一体となって取り組まなければならない、これからの大きな課題だということを改めて実感した見学だった。(エネルギー・環境理科教育推進研究所・高畠勇二)

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今回、貴重な機会をいただき、福島第一原子力発電所を見学することができた。夜間立入り禁止地域や昼夜立入り禁止地域があり、住人の姿が全くいない光景が現実であることに驚くと共に事故が現実の世界で起こったことを再認識した。廃炉に向けた作業や除染に携わる人と多くの人の力で小さな歩みだが確実に一歩一歩進んでいることを実感した。

今回の事故で、感じたことがいくつかある。危機管理という点で、千年に一度の災害も想定して、避ける手立てを想定していかなければならない。災害や事故が起こったときに、この道を粛々と進んでいけば時間がかかっても回避できる道筋を作っておく必要があるということ。そして、風評被害といわれるような感情を元にした行動から、科学的な根拠が元になった行動ができる人を育てなければならない。

これらを担うのは、教育以外に考えられない。また、日本の原子力の技術を更に発展させ、廃炉の技術だけでなく、二度と事故を起こさない安全な原子力技術等、子供世代に期待する部分が大変多くなっている。日本の置かれている現状を理解し、進むべき道を正しく選べる大切な人材を育てていきたいと感じた。(全中理事務局長・山谷安雄)

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