[Newsletter] 世界核燃料加工安全ネットワーク設立趣意書 11月1日 |
わが国の核燃料加工事業者が、「世界核燃料加工安全ネットワーク」(仮称)の設立を提案し、国内外の加工事業関係企業などに参加の呼びかけを行うことになりました。 これは、ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所における臨界事故を受け、10月8日に当会議(日本原子力産業会議)が発表した声明と共に、核燃料加工メーカー自らが相互に安全チェックを行うための取り組みの一つであり、以下にその設立趣意書を紹介します。 世界核燃料加工安全ネットワーク設立趣意書去る9月30日に茨城県東海村で発生したJCO臨界事故は、従業員に重度の被曝者を出し、近隣一般住民にも避難等の多大な影響を与え、大きな不安をもたらすという、日本の原子力開発利用始まって以来の大きな事故であった。その影響は日本国内に止まらず、世界中の人々に衝撃を与え、原子力に対する極めて大きな不信感をもたらした。まことに不幸なそして残念な出来事である。我々核燃料加工事業者は、同業者として真摯にこの事故を受け止め、業界そして原子力全体の信頼回復を目指して取り組んでいかなければならない。 今回の事故は、規制に則って作られた設備と定められた手順を無視した、全く無法な行為によって起こされたものであるが、この事故を単なる特異な例外として片づけてはならない。このようなモラルの欠如による事故を防ぐには、規制面での強化だけでは限界があり、加工事業者が主体的に、モラル向上を含めた安全性全体の向上に取組むことが不可欠である。 原子力産業においても、発電事業と加工事業はそのプロセスおよび具乍応面で質を異にしている。多様な物理的・化学的状態の核物質をバルで取り扱うという、加工事業の特性を十分理解した安全強化対策が必要であり、加工事業者が自ら改革に取り組まねばならない。 原子力事故は、どこで起きても世界中にその影響が及び、世界中の原子力産業に大きな打撃を与える。一国内で完結するのではなく、世界に開いた、世界共通レベルの安全文化を築く必要がある。世界中の加工事業者が、安全性向上のために連携して取り組むことが望まれる。 そこで、世界中の事業者問の情報交換と安全文化の共有、そして安全についての相互レビューを目的とする、「世界核燃料加工安全ネットワーク(略称:INFIS−Net)」を設立することを提案する。このネットワークの設立は、加工事業者自らが、事故を教訓とし、安全性向上を目指して自己改革を行うことの具体的な表明でもある。 核燃料加工事業そして原子力産業の信頼感が一日も早く回復されることを目指し、INFIS Netを出来るだけ早期に立ち上げる所存である。上記の提案趣旨にご賛同頂き、INFIS-Netへの参画をお願いしたい。
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