[JAIF] 原子力関連ニュース -2001年3月22日 JAIF_Top

台湾第3 (馬鞍山) 原子力発電所電源喪失事故について

台湾第3 (馬鞍山) 原子力発電所の電源喪失事故に関する張俊雄行政院長の見解 (仮訳)

張俊雄行政院長は21日、行政院にて原子能委員会および経済部の事情聴取を行ない、以下の見解を示した。
  1. 台湾の原子力発電に関して問題となっているのは経済および思想ではない、台湾住民1300万人の生命の安危である。第4原子力発電所建設に関しても、我々の不安の根拠は「原子力発電所事故発生の確率は1万分の1というが、我々はその1万分の1が恐ろしい。」というまさにそれである。原子力発電所における事故は設計上の問題だけではない。人為的もしくは想定外の原因が事故を引き起こす要素が非常に大きい。このほど、第3原子力発電所で発生した事故は、台湾が原子力発電所の運転をはじめて22年間のうちで、最も重大な事故であり、原子力発電に対する私の不安を現実のものとした。我々行政院は「非核国家」をめざして、立法院の理解のもと経済部を中心に電力を安定的に供給しつつ、「非核国家」を実現させるための方策を打ち立てなければならない。

  2. 今回の事故は社会的に非常に高い関心を集めた。原子能委員会および経済部には迅速な原因究明と、今後二度とこのような事故を起こさないための対策を要請するとともに、もし人為的なミスが認められれば関係者の責任追及を行なって頂きたい。また、台湾電力には第3原子力発電所以外の、第1(金山)原子力発電所、第2(国聖)原子力発電所の管理を強化させ、直ちに安全検査を実施するとともに、防災計画の提出を要請する。更に将来的には建設中の第4原子力発電所に関し、緊急時対応計画を作成し安全確保に努めることを原子能委員会および経済部に要請する。

  3. 行政院が1999年12月に立法院に提出した「原子力発電所緊急時処理法」草案は、優先的に審議されるべき案件であり、原子能委員会には立法院との協力により、速やかに本草案を法案化することを要請する。

  4. 3月18日、第3原子力発電所で発生した事故は、この20年来で最も重大な事故であり、台湾の社会では再び原子力発電所に対する論争が起ころうとしている。そのため、本件は早急な解決と慎重な処理が必要である。そうでなければ、技術的かつ専門的であるべき問題は、一瞬のうちに思想的、情緒的な対立へと質を変えていくことが考えられる。

  5. 社会的不安と懐疑に対処するために、魏哲国家科学委員会委員長はじめ、計7名からなる専門家グループ (学識者3名、環境保護署、原子能委員会、経済部の代表者各1名) を組織し今回の事故に関する調査をおこない、2週間以内に報告をまとめることとする。

「中時即時快報」抄訳
平成13年3月21日

張俊雄行政院長(首相に相当)は21日午前、18日未明に発生した第3(馬鞍山)原子力発電所の電源喪失事故について、経済部と原子能委員会の報告を受けたが、その後、直ちに魏哲国家科学委員会委員長をはじめ、学識者3名、原子能委員会、経済部、環境保護署の代表者各1名の合計7名からなる事故調査グループを組織し、今回の事故での人為ミスの有無など、詳細な事故調査を行なうことを明らかにした。

張院長自身も22日現地に赴き、事故現場を視察する。また、事故調査の結果は遅くとも2週間以内には行政院に報告される予定。


原子能委員会 プレスリリース仮訳
平成13年3月19日

3月17日の、345kVの高圧線の故障が原因で運転停止中だった、第3原子力発電所1号機で、翌18日午前0時46分161kVと345kVの送電線からの電源が同時に喪失し、更に緊急用ディーゼル発電機がうまく作動しないという事態が発生し、原子能委員会は3月18日午前2時30分台湾電力公司緊急時対策室から「発電所外および内の全ての電源を喪失した」との報告を受けた。

原子能委員会では事故の段階を原子力発電所緊急時計画の2A「緊急警戒」として、直ちに歐陽敏盛副主任委員を責任者として、2A緊急警戒動員作業規定に従い「緊急時対応グループ」を組織、詳細状況を把握、分析したが、その結果、事故の段階は3A「発電所内緊急事故」であると認められたため、変更の手続きに取りかかった。

午前3時37分原子能委員会は台湾電力公司から文書で事故解除の通知を受けたが、「緊急時対応グループ」の体制は解除せず、引き続き、台湾電力公司の関連状況を監視した。その結果、午前7時20分機器等の安全が確認できたため、歐陽敏盛は「緊急時対応グループ」の任務を解除した。

本件は原子炉が安全停止中であったため外部への放射能漏れはなく、周辺住民および環境への影響はなかった。


台湾電力公司 プレスリリース仮訳
平成13年3月19日

17日に発生した送電線故障のため運転を停止していた、第3原子力発電所の1号機で、18日午前0時46分原子力発電所の電気系統の故障による電源喪失事故が発生したが、同日午前2時54分緊急用のディーゼル発電機の稼働に成功し、午前3時には正常な状態に回復した。

台湾電力公司によると、今回の事故は濃い塩霧により第3原子力発電所に送電をしている、大鵬高圧変電所と龍崎高圧変電所の間で高圧送電線がショートしたため、17日の午前3時21分に1号機が、3時23分に2号機が相次いで運転を停止しており、本事故が発生した時点では両基とも運転を停止した状態だった。そのため、18日の電源喪失事故による、放射能の外部漏れはなく、周辺の環境に影響を及ぼす事態は避けることができた。

第3原子力発電所によると、1号機の電源が喪失した時点で、緊急発電装置を作動しようとしたところ、A、B2台の(ディーゼル)発電装置が正常に作動せず、Aの(ディーゼル)発電装置室で白煙があがるアクシデントが発生したが、自動消火システムが作動したことにより、事態は直に収拾した。

第3原子力発電所1号機の電気系統トラブルによる電源喪失事故および、2台の(ディーゼル)発電装置が正常に作動をしなかったことについては現在詳しい調査を行っている。

また、原子力発電所緊急時計画によると、今回の事故は4段階評価で午前0時46分に発生した電源喪失事故のランクは2Aの緊急警戒事故だったが、更にその状態が15分間続いたことにより、3Aの緊急事故となってしまった。

午前3時電源が回復し事態は終息したが、今回の事故が発生した際、台湾電力公司第3原子力発電所総官處は原子力発電所緊急時計画に基づき、緊急時対策室を設置し、また、行政院原子能委員会および経済部などに通報を行った。


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