台湾第3 (馬鞍山) 原子力発電所電源喪失事故報告
行政院原子能委員会 2001年3月21日
1.事故の過程
- 3月17日午前3時23分
第3原子力発電所で外部からの送電システムにトラブルが発生したため、2基とも運転を停止、その後運転停止の状態が続いていた。
- 3月18日午前0時46分
1号機で発電所内の交流電源システムが故障した一方で、緊急時用のディーゼル発電機も稼働せず、4.16kVの緊急用電源システムが電源を喪失したため、緊急警戒体制へ入る。その際、蒸気駆動の補助用給水ポンプシステムの起動に成功、炉心冷却の状態は保持される。
- 3月18日午前2時54分
予備用に設置していた5台目のディーゼル発電機の稼働に成功、緊急電源システムによる電気供給が開始しため、緊急事態は解除。
2.原子能委員会の対応
- 原子能委員会は3月18日午前2時30分、台湾電力公司緊急時対策室からの通報を受ける。第3原子力発電所1号機で発電所内外の電源が喪失、台湾の原子力発電所緊急時計画の規定によるレベル2Aの「緊急警戒」の事故が発生したと判断され、直ちに歐陽敏盛原子能委員会副主任委員を中心とする緊急時対応グループを設置。
- 18日午前3時37分に台湾電力公司より書面で緊急事態解除の報告を受けたが、原子能委員会の緊急時対応グループは体制を維持、その後完全に安全が確認された午前7時20分、歐陽原子能委員会副主任委員が体制を解除。
- 迅速な状況把握のため、現地駐在中の監視員が現場を調査するとともに、18日午後1時30分、事故対策会議を開催、台湾電力より事情を徴収した。
3.事故の影響
- 発生時、炉心が既に停止状態であったこと、更に電気駆動を必要としない蒸気駆動の補助用給水ポンプと各逃がし弁がどちらも正常に作動したことにより、炉心の冷却状態は保持され、放射能が外部に漏れる事態は避けられた。
- 電源が喪失していた2時間で1号機の温度は摂氏291度から摂氏199度へ、圧力は156Kg/cm2から43kg/cm2に下降した。この事からも事故中も炉心の安全性は保たれたことがうかがえる。
- 原子力発電所の安全設備である緊急電源システムは重要な設備であり、今後、原子力発電所の安全性確保のためにも、今回の故障原因を徹底解明し改善を加えなければならない。
4.原子能委員会の現在の作業状況
- 原子能委員会は事故発生後、駐在監視員による監督強化をはかる以外に、専門家を第3原子力発電所に派遣し、事故原因の調査を行った。その結果、原子力発電所外の高圧線が3月16日から18日にかけてトラブルを起こしており、これが今回の事故の原因になったと考えられる。
- 原子能委員会は専門家および学識経験者からなる調査団を組織し、今回の事故原因を詳しく調査する。
- 今回の事故の原因を早急に詳しく分析するとともに、必要な改善措置を取った後に運転を再開する。
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