[JAIF]-News 2001年12月10日 JAIF

日本原子力産業会議は12月5日、ITER の日本誘致に対する要望を、内閣府の総合科学技術会議、原子力委員会、文部科学省、財務省の政府関係者、及び関係する国会議員、経済団体連合会資源・エネルギー対策委員会委員長に対して行いました。

ITER (国際熱核融合実験炉) の日本誘致に対する要望
平成13年12月5日
(社)日本原子力産業会議

核融合エネルギーは、資源として地球における地域的な偏在がなく量的にも制約がないことにより、安定供給が見込まれ、また優れた安全性があり、かつ現在の原子力発電と同様に核融合反応の過程で二酸化炭素も発生しない。従ってそれが実現の暁には、人類の将来の発展をエネルギーの資源・環境上の制約から解放する未来の究極的なエネルギー源として期待されている。

わが国では、核融合の研究開発のため、昭和36年 (1961年) に名古屋大学プラズマ研究所を設立する等、基礎研究の段階から研究開発を開始し、日本原子力研究所にて臨界プラズマ試験装置JT−60の建設・実験を行い、これら研究開発成果においてEU、米国およびロシアに勝るとも劣らない国際貢献を果たしてきた。わが国の産業界も実験装置の製作等にて研究開発の発展に貢献し、本業績の一翼を担い、本年7月に終了した ITER 工学設計活動の研究開発においても、わが国産業界の技術力が高く評価されたところである。

ITER は現在、研究が進められている各方式のうち熱核融合研究開発の大きなマイルストーンである自己点火条件を実証するため、最も実現の可能性が高いトカマク方式によって先進各国が資金・技術・人材を持ち寄って、その実用化の見通しを共同で実証しようとするものであり、核融合開発戦略上きわめて重要な意義を持つものである。また産業技術の面から見ても、機器等の開発・製造・組み立ての過程を通して、核融合炉実用化へのノウハウを構築することができ、新たなる科学技術のブレークスルーの契機となるものとして期待される。この ITER がわが国に建設されることになれば、わが国からより多くの技術者の直接の参加が期待でき、また主としてサイト国が経験できる建屋関係、ITER 本体の組み立て、ITER の運転・保守等において、より多くのノウハウ構築の機会が得られる。

わが国がサイト国になった場合には、ITER 計画懇談会の報告書で指摘されているように、民間のみならず各方面への効果も含めて、わが国全体にとって格段により多くのメリットが得られるため、ITER の日本誘致をここに要望するものである。

以 上

JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM,INC.(JAIF)