[原子力産業新聞] 2001年6月14日 第2091号 <1面>

[原産] MOX利用への理解促進に向け決議文

自己責任厳しく問い直し信頼の回復に努力

国内でプルサーマル計画の実施が相次いで難航している状況を受けて、日本原子力産業会議は14日に開催する第50回通常総会で、MOX 燃料利用に対する国民の理解増進にむけて、これまで払われた努力が不十分だったことを踏まえ、改めて国民の信頼回復へ関係者の全力での取組みを促す決議文を採択する方針だ。決議文案は次の通りとなっている。


日本原子力産業会議は、原子力発電や核燃料サイクルの開発の必要性について、これまで政府や民間各セクターと緊密に協力して、広く国民の理解を求めるよう努めてきた。しかし、東京電力柏崎刈羽原子力発電所3号機でのプルサーマル実施に関する刈羽村住民投票の結果は、誠に残念であり、我々の努力が不十分であったことを痛感せざるを得ない。

去る4月に、青森市ならびに六ヶ所村で開催した第34回原産年次大会では、改めて核燃料サイクル確立の重要性が指摘され、特にその重要なステップとしてウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を利用するプルサーマルの計画的な推進について、同地域の方々とともに再確認したばかりである。

万一、こうした事態によって核燃料のリサイクル計画が大きく変更されるとすれば、わが国のエネルギー政策だけでなく、長年にわたって築かれてきたエネルギー供給ならびに核燃料サイクルに対する地域からの協力にも影響を与える恐れがある。

軽水炉でのMOX燃料は、世界で1960年代後半以来、合計51基、約2260本もの利用実績がある。また、わが国でも同じ熱中性子炉である核燃料サイクル開発機構「ふげん」で700本余りの豊富な利用経験があるほか、軽水炉としても、日本原子力発電敦賀1号機、関西電力美浜1号機で合計6本使用されており、安全性には十分な実績がある。

こうした実績に対し理解が進みつつあったにもかかわらず、刈羽村の住民投票で過半数の方々が反対されたのは、BNFL社製MOX燃料の品質管理データ不正問題やJCO事故などによって損なわれた原子力に対する信頼感が、未だ回復していないものと認識する。

我々は、以上の観点から、当会議を構成する関係者が一層の情報公開に努めるとともに、MOX燃料利用の国民理解に向け、先頭に立ってさらに努力することを決議する。

具体的には、核燃料サイクル確立の重要性について関係者が改めて再確認し、理解促進活動を積極的に展開するとともに、政府のプルサーマル連絡協議会の活動に協力していくこととする。

エネルギー資源に乏しいわが国において、将来にわたりエネルギー源を確保していくためには、ウラン資源を有効利用するプルサーマルが必要である。

我々原子力関係者は、安全確保に関する自己責任を改めて肝に銘じつつ、MOX燃料利用への国民の理解促進に向けて不退転の決意で臨む所存である。


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