[原子力産業新聞] 2001年6月21日 第2092号 <1面>

[原産] 第50回通常総会を開催

MOX利用にむけ決議

日本原子力産業会議は14日、東京・千代田区の東海大学校友会館で、第50回通常総会を開き、平成12年度の事業報告と平成13年度の事業計画を審議、了承した。また先にプルサーマル計画をめぐる新潟県刈羽村での住民投票結果を踏まえ、MOX 利用にむけた国民理解促進の決議を行った。

冒頭挨拶した西澤潤一原産会長は原子力への国民理解について、「安全な施設だから安心というわけではない。最も重要なことは、施設の現場に信頼するに足る人間がいてこそ、周りの人々の安心や信頼が得られるものだ。業務に関わる人間と周りの人々との信頼関係がなによりも重要だ」との考え方を示した。さらに「当事者がより強い社会的な責任感に目覚めて、今後の事故が皆無になるようなことを心にちかわなければならない」と安全性向上への一層の努力を訴えた。プルサーマル計画については「最近、軽水炉での MOX 燃料によるプルトニウム利用に対して、住民投票が行われ、反対票が賛成票を上回ったために、延期される事態となっていることは、たいへん遺憾なことだ」として、MOX 利用への国民理解にむけた決議を行うことを提案した。

来賓として出席した尾身幸次科学技術政策担当大臣は挨拶し、資源や環境問題への対応にあたり「核分裂、核融合含めて原子力の平和利用をもっと進めていかなければならない。そうでなければ21世紀の人類の将来はないといっても過言ではないと考える」と原子力開発の必要性を強調した。

続いて、文部科学省の今村努研究開発局長が遠山敦子大臣の挨拶を代読。「原子力を着実に推進することが必要」とするとともに、「わが国の原子力政策の基本は核燃料サイクルの確立だ。この核燃料サイクルは短期的な観点からのコストや燃料資源の需給バランスを越えて長期的にまた全地球的に重要な意義を有するものであり、今後ともその確立にむけ努力を継続していくことが必要」とした。プルサーマル計画についても「国や原子力関係者が、より一層の努力をする必要を痛感している。引き続き国民にわかりやすい形で情報が提供されるよう情報公開を徹底するとともに、国民の皆様との対話を絶やすことのないよう、引き続き努力していく」との姿勢を示した。

経済産業省からは資源エネルギー庁の大井篤電力・ガス事業部長があいさつにたち、地球に十数億年かけて蓄積してきた化石燃料を数十年で使うことが、果して長い人類というものを考えた時に健全であるかどうかは一目瞭然であろうと考える。そういった中で原子力については安全を大事に当然の前提にしながら、これを着実に進めるということは論を待たない」と述べた。そのうえでプルサーマルをめぐる動きなどにふれ、「今原子力について大変なひとつのヤマ場を迎えていると思う。ひとつの地域の問題が全国の地域に拡大する可能性も秘めている。国民一人一人、住民一人一人が正しい理解のうえで判断をしてくことが重要と考える」とした。

この後、昨年度、今年度の事業報告および事業計画等が審議、了承され、MOX 利用への国民理解にむけた決議を全会一致で決めた。


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