[原子力産業新聞] 2001年7月19日 第2096号 <1面>

[文部科学省] RI放射線源管理でフィリピンなどに専門家を派遣

フィリピンなど現地調査

文部科学省は、昨年相次いで使用済み放射線源の管理不足が問題となったフィリピンとタイに我が国から専門家を派遣して、線源の管理状況の把握と今後の適切な管理方法確立に向けた情報・意見交換を進める考えだ。

専門家派遣は我が国の原子力委員会が推進する「アジア原子力協力フォーラム」活動に基づいた特別調査として行われるもの。第一陣として今月29日から8月4日にかけ、小佐古敏荘東大原子力研究総合センター助教授を中心に、文部科学省、原子力研究バックエンド推進センターなどの6名からなるチームがフィリピンを訪問。原子力研究所やそのほか RI 使用施設などで放射線源の利用や管理の状況を把握する。続いてタイには8月19日から1週間の予定で、同じ調査チームを派遣する。

放射線源の安全管理支援は、昨年11月にタイのバンコクで各国大臣級が参加して開催された「第1回フォーラム会合」の席上、当時の大島理森科学技術庁長官が提唱したもの。フォーラム開催を前に、タイでの使用済み C060 線源による被曝事故が発住したり、フィリピンから我が国に運搬された金属スクラップに使用済み線源が混入していたことなどから、線源の安全管理が地域の原子力利用に重要との観点で協力プログラムとして取り上げられた。

今回の放射線源に関する安全管理協力は、タイとフィリピンをモデル国として、(1) 線源の取扱いの現状や関連の法体系 (2) 過去の線源管理上のトラブル事例 (3) 国際的な動向とその対応策−などを相互に紹介、意見交換をとおして、我が国やモデル国の国情を理解した上で、地域各国で有用な線源管理方法を引き出そうとのねらいがある。2年間程度で線源管理システム改善に向けた対応のための報告をまとめる予定だ。


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