[原子力産業新聞] 2001年8月2日 第2098号 <3面>

[英国] MOX施設の経済性を確認

2億ポンドの利益見込む

英国政府は7月27日、セラフィールドにある英原子燃料会社 (BNFL) の MOX 燃料製造加工施設 (SMP) の経済性について独立の調査機関に調査させた結果、「SMP は十分な経済性を備えている」との報告書が提出されたことを明らかにした。

SMP では同じサイト内にある酸化物燃料再処理工場 (THORP) で抽出されたウランとプルトニウムを主な原料に MOX 燃料の製造が計画されている。英国政府は3月末、BNFL が今年初頭に提出した SMP の操業に関する独自の経済性評価書 (改訂版) について審査を開始するとともに、4月23日には大手のコンサルティング会社であるアーサー・D・リトル (ADL) 社にも一般の意見を考慮に入れた評価作業を依頼していた。今回、ADL 社は「SMP での MOX 燃料生産には十分な経済性があり、英国の国家経済権益で2億1600万ポンドの純益価値 (NPV) が見込まれる」との分析結果を導き出しており、これを受けて政府の環境・食品・地方問題省 (DEFRA) と厚生省は8月24日までの期間、同報告書に対する一般市民の意見を募集。それらと ADL 報告を含むすべての関連情報を考慮した上で SMP の本格的な操業を認可すべきか否かの判断を下すことになっている。

この問題に関しては、英国環境庁がすでに98年10月、「SMP による環境影響は無視できる程度で、フル操業は認可すべき」との評価案を公表。99年6月には英国政府として、「SMP のフル操業は正当と評価できるものの、最終的な判断は同施設の経済性評価や MOX 燃料市場に関する審査の結果次第」との暫定見解を示していた。

BNFL は今回の ADL による独立の立場からの報告書について、「我々が再三にわたって指摘してきた見解を支持するもの」として歓迎。SMP が有する堅固な経済性は、SMP が立地する西カンブリア郡の雇用と経済にとっても非常に重要との認識を繰り返した。また、今回の報告書は今後4週間かけて実施される SMP の経済性に関する公聴会で基盤的な役割を果たすはずだと強調した。

さらに、同社のN.アスキュー最高経営責任者も、「ADL 報告は SMP の経済性を厳しく精査した結果であり、SMP が国益をもたらす施設であることをハッキリと証明した」と指摘。公聴会を含めた手続きが済み次第、操業認可を得ることは重要との認識を表明した。BNFL では SMP の経済性を正当化できる標準ケースの約4割にあたる事業契約をすでに獲得済みで、「本格操業を始める準備は整った」と言明している。


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