[原子力産業新聞] 2001年8月30日 第2101号 <4面>

[放射線利用] 米国経済に大きく貢献

日本での利用規模しのぐ

文部科学省はこのほど、米国での放射線利用の経済規模を調べるとともに日米両国を相互に比較した調査結果を公表。米国での放射線利用がわが国と比べ、相対的に大きな経済効果をもたらしている実態が明らかになった。

調査は昨年度日本原子力研究所に委託して実施されたもので、工業、農業、医学・医療の各分野を対象に1997年度のデータを下にとりまとめられた。

その中で、メス、輸送セット、注射針・筒などのディスポーザブル医療用具に対する放射線滅菌では、米国の実績は5257億円で日本が2841億円という比較が選られたとしている。米国での照射市場は規模で日本の10倍、処理量で100倍だが照射料金は8分の1で、わが国の場合は付加価値の高い製品の照射が行われる傾向があるという。

放射線を利用しての半導体加工の分野では、世界売上げ上位11位企業のデータに基づいて、米国が4兆5000億円である一方、日本は3兆4000億円だったとの結果を示している。加工タイヤの売上では米国の1兆6000億円に対して日本では1兆円だったほか、工業用非破壊検査については米国で日本の312億円の2倍以上の212億円の経済規模だった。

また、食品照射を見ると米国での経済効果は、スパイス価格が店頭小売と工場出荷時点で違うため数字が大きくっことなるが、最大で3903億円規模、最小で206億円と評価されている。いずれにしても、スパイス、果実・野菜、鶏肉が照射対象となっている米国市場は、ジャガイモのみが対象のわが国の19億円を大きく上回る結果が出ている。

なお、今回両国の数字の比較には1ドル121円の換算レートが用いられた。


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