[原子力産業新聞] 2001年10月4日 第2106号 <1面>

[サイクル機構] ウラン濃縮技術開発を終了

遠心分離法国家的事業として「十分な成果」

核燃料サイクル開発機構は9月30日、同機構法施行令に基づき、1964年以来継続してきたウラン濃縮技術開発を終了した。今年3月に人形峠の原型プラントで運転が終了したのに続き、法的にもサイクル機構はウラン濃縮事業における一応の役目を終えたことになる。今後は、濃縮施設の解体処理に向けた技術開発や、日本原燃が主体となり進める新型遠心機開発に対する支援を行っていく。

国内で自主的な核燃料サイクル確立の必要性が高まる中、ウラン濃縮技術の開発は1972年に原子力委員会が遠心分離法をナショナルプロジェクトに指定。当時の動燃事業団は技術の国産化を目指し、大学や民間の協力を得て開発に乗り出した。金属胴遠心機開発から始まり、パイロットプラント、原型プラント、新素材胴遠心機へと開発を段階的に進めてきた。88年には原型プラントを操業開始。開発の成果は現在の日本原燃に移転され、92年から操業が続けられている。

その後98年には旧動燃の組織改革に伴い、所期の役割を果たした濃縮技術開発は整理事業にすることが決められた。事業の完了にあたっては、「高速炉・燃料サイクル課題評価委員会」(委昌長・岡芳明東京大学院教授) が事後評価を実施した。

先月同機構理事長に答申された評価結果では、ウラン濃縮といった機微技術の国外からの技術導入が困難な中で、同機構が国産化プロジェクトの中核として事業化にむけた濃縮技術の自主開発を進めてきたことに評価を与え、「開発の目的、意義に照らせば、十分な成果をあげた」ナショナルプロジェクトと言えるとしている。

反面、研究開発に30年以上の長期間を要したことや、最終的に民間への技術移転に至る体制で問題点が見られたことは残念だとする評価を加えるとともに、技術成果を移転した日本原燃・六ヶ所濃縮プラントで予測された以上の遠心分離機が停止を起こしている点を指摘し、原型プラントの分解点検も含め、原燃が行っている原因の究明に協力するよう取組みを求めた。

ウラン濃縮施設の廃止に伴い、今後サイクル機構が開発にあたるのは、13年間の連続運転を終えた原型プラント内部に残るウラン化合物の除去回収技術だ。解体で発生するウラン廃棄物を最小限にすることで、プラントの合理的な廃止措置が行えるようにする。このほか、遠心機自体も今後の処理において、核不拡散の観点から機微技術の消滅や廃棄物の減量技術を開発していく予定だ。

今後、我が国のウラン濃縮技術は、昨年発足した日本原燃のウラン濃縮技術開発センターに一元的に開発陣が結集し、新型遠心機開発に努力が注がれることになる。

かつて動燃が、海外の URENCO 社と比較して濃縮技術開発の達成時期や価格競争で遅れをとったことは、事後評価の中でも今後我が国が新たな濃縮技術開発を推進するうえで教訓とすべき点とされている。国際的にも十分な競争力を持てる濃縮技術の高度化を達成するためには、研究開発機関と民間事業者が共通意識のもと一体となり開発に取り組むことが必要となろう。


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