[JAIF] プレスリリース -2002年6月25日

日本原子力産業会議は6月25日に第51回通常総会を開催し、西澤潤一会長が以下のとおり「プル・サーマル問題について」の所信を表明致しました。

プル・サーマル問題について

2002年6月25日
(社)日本原子力産業会議
会長 西澤 潤一

日本原子力産業会議は、原子力発電とそれを支える核燃料サイクルの開発について、一貫性ある確固たる政策の樹立と実行に関して、調査検討・提言を行うとともに、それが現段階においては国民経済の安定的持続と環境保全のため不可欠なる事を、広く国民に訴える活動を展開してきた。昨年の会員総会は青森県・六ケ所村での原産年次大会の直後であり、新潟県刈羽村住民投票でプル・サーマル実施を否定する結果がでた事を重く受け止め、「MOX燃料利用への理解促進にむけて」の総会決議を採択、各界に強く訴えた。

一年を経過した今日、プル・サーマルへの国民の支持を得る政府・民間の努力は一定の成果を得つつあり、また安定確保を目指すエネルギ−の法制も国会で議決されて政府の政策が一層明らかにされる等、背景となる条件の整備は進みつつあるものの、残念ながら、MOX燃料の原子力発電所への装荷については、未だ当該自治体の了解をうるに至っていない。

前決議でも指摘したように、またすでに周知のように、MOX燃料については、過去40年間にわたり世界で2千本余の安全な使用経験があり、その内わが国でも「ふげん」を含めその三分の一近くに当たる本数のMOX燃料燃焼の実績がある。それに加えこの一年の間に、フランスは今後三十年間、プルトニウムを専らプル・サーマルで使用しその蓄積量を減少させるという政策を発表し、また従来プルトニウムの燃料利用に消極的であったアメリカも、解体核兵器からのプルトニウムを専らMOX燃料として利用する方向に大きく政策転換するなど、プル・サーマル利用を燃料リサイクル政策の中核とする考え方は、いまや世界の趨勢ともなりつつある。

国民的立場に立ち原子力開発の健全かつ計画的推進を目指す当原産(社団法人・会員約700、1956年設立)として、MOX燃料をめぐる前記のような内外の情勢の進展を踏まえ、安全確保に十分な配慮をはらい続けるのは無論であるが、この際、原子力関係者はMOX燃料の装荷に向けて情報公開など一層の努力を続けるとともに、地元関係の方々におかれては出来るだけ早く同意の決断を成されるよう、強く要望するものである。


Copyright (C) 2002 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.