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原子力委員会「核燃料サイクル政策についての中間取りまとめ」について

2004年11月17日
日本原子力産業会議

 原子力委員会の新計画策定会議が本年11月12日、今後の核燃料サイクル政策のあり方について、再処理路線がエネルギーセキュリティ、環境適合性、将来の不確実性への対応能力等の面で直接処分路線に比較して総合的に優位であるとして、「使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを基本方針とする」とした「核燃料サイクル政策についての中間取りまとめ」を了承したことについて、我が国が原子力開発当初から取組んできた核燃料サイクル路線の重要性が改めて確認されたものと高く評価したい。この国の方針が再確認されたことにより、当面の課題である六ヶ所再処理工場のウラン試験開始およびプルサーマルの早期実施に向け、産業界として安全の確保と信頼の維持を大前提として、全力を挙げて取組み、国民の期待に応えていく必要がある。

 当原産会議では、新原子力長期計画策定における使用済燃料の処分のあり方についての議論に重大な関心を寄せてきており、7月にも、この課題については幅広い総合的な視点で議論すべきであるなどとする原産見解を発表してきたところである。策定会議での議論では、使用済燃料の取扱いに関して、全量再処理、一部は直接処分、全量直接処分、将来処分方法を決定という4つの基本シナリオを想定し、安全確保やセキュリティなど10項目の視点から検討された。技術検討小委員会での審議も含め、計18回、延べ45時間の時間を費やされ、全て公開の場で真摯に議論いただいた原子力委員会並びに策定会議委員の方々に敬意を表したい。

 今回の中間とりまとめでは、「当面の政策の基本的方向」として、六ヶ所再処理工場での処理を超える使用済燃料は中間貯蔵し、その処理方策は六ヶ所工場の運転実績や高速炉リサイクルの研究開発状況を踏まえて2010年頃から検討するとし、国に対しては必要な研究開発体制、経済的措置の整備、さらにプルサーマルの推進、中間貯蔵施設の立地について一層の努力を求めるとともに、民間事業者に対しては核燃料サイクル事業に責任をもって推進することを期待し、とくに六ヶ所再処理工場に関しては安全操業の確保、トラブル対応策の準備を含む事業リスク管理の徹底とリスクコミュニケーションによる地域社会に対する説明責任等を通じて、事業を円滑に稼動させていくことを求めている。

 今般、核燃料サイクルの意義が再確認され、当面の方策の道筋が示されたわけであるが、電力自由化等の新たな社会的変革の中にあって、国および民間事業者に負託された役割はなお一層大きいものがあり、着実な事業化への取組みは一刻の遅滞も許されない状況である。プルサーマルの実現をも含め、関係者は核燃料サイクル確立を目指して新たな決意で取り組もうとしており、当会議はそれを全面的に支援していきたい。

以上


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