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「もんじゅ」最高裁判決について 会長談話

2005年5月31日
(社)日本原子力産業会議
会長 西澤 潤一


 昨日、最高裁判所より、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」に関わる行政訴訟上告審について、「もんじゅ」に対する国の設置許可処分を無効とした名古屋高等裁判所金沢支部の第二審判決(平成15年1月)を破棄する司法判断が示された。

 今回の判決により、国による「もんじゅ」の安全審査の妥当性が認められた。わが国におけるウラン資源の一層の有効利用と環境負荷低減を目指す高速増殖炉サイクル技術研究開発の重要性を考えると、その中核施設である「もんじゅ」の設置が依拠する専門的安全審査においてあらためて適正との判断が下されたことは重大な意味があり、科学技術振興・開発の観点からも極めて意義が大きい。

 ナトリウム漏れ事故から約10年が経過する「もんじゅ」は今年3月、地元からの事前了解を得て、安全性向上への改造工事の準備が開始された。福井県が作成したエネルギー研究開発拠点化構想においても、国際的な高速増殖炉研究開発の場としての利用計画が盛り込まれており、地元関係者の間にも「もんじゅ」の研究開発計画の進展に対する期待が高い。また、「もんじゅ」の国際的な活用にも大きな期待が寄せられているところである。

 上記を踏まえれば、核燃料サイクル開発機構さらには今年10月から新たに発足する日本原子力研究開発機構において、安全確保対策に万全を期することは当然であるが、貴重な工学的研究開発資源である「もんじゅ」を最大限に活用するとともに、情報公開と理解活動を進め、立地地域住民をはじめとする国民の信頼を揺るぎないものとしていくことが肝要である。社会に大きく貢献しうる大規模技術開発の再出発にあたって、原子力関係者は常に社会に対する意識を強く持ち、国民に対してわかりやすい説明の実施や情報発信を心がけることが重要なことは言うまでもない。

 原子力委員会において、現在策定が進められている新原子力長期計画の中で「もんじゅ」が高速増殖炉サイクル技術確立に向けた国の中核的プロジェクトとして明確に位置付けられることを期待するとともに、当会議としても、国内のみならず国際的な視野から、ウラン資源の有効利用等における「もんじゅ」の重要性について社会の理解促進に最大限の努力を行う所存である。

以上


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