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国際熱核融合実験炉(ITER)の立地決定について

平成17年6月29日
日本原子力産業会議

 我が国とフランスは国際熱核融合実験炉(ITER)の立地をめぐり、あしかけ3年にわたって交渉を続けてきましたが、残念ながら、我が国は本体の立地を断念する結果となりました。この決定が、決して我が国が技術面あるいは立地条件等で劣っていたが故ではなく、逆に我が国は世界のトップランナーとして世界の核融合研究開発を牽引してきたこと、また、候補地であった青森県六ヶ所村の立地条件は総合的にはカダラッシュと比べて有利であったことに留意したいと思います。しかし、理由はともあれ、すでに立地が決定した以上、我が国は持てる実力を十二分に発揮しつつ6極間の一致協力のもと、効率的な運営体制を早急に構築し、ITER計画に一刻も早く着手すべく、取組んでいくことが重要です。

 周知のように、ITER計画は最先端の科学、工学を結集して核融合発電の工学的実現性を確認しようという、建設から解体・処分まで、35年以上の年月と1兆円を越える資金を費やす野心的な国際プロジェクトです。このようなプロジェクトに対して、核融合研究開発の先端を走っている我が国としては、国内の産官学の知見を結集し、これに貢献していくべきことは当然ですが、我が国の核融合研究開発の高いポテンシャルを考慮すると、ホスト極と並び得る主要試験施設等の我が国への立地、主要人事ポストの確保など、その能力に見合った役割を果たすべく、積極的に発言し実現を図っていくことが重要です。

 またITER建設においては、超電導コイル等の先端技術を要する主要機器の設計、製造、組立て等では、我が国産業界の役割が極めて重要とされています。しかしながら、現在、産業界はEDAが終了した2001年以降、核融合予算の削減によって、受注減、技術者の減少等を余儀なくされ、ITER計画への対応ばかりでなく、今後の核融合研究開発に向けた事業基盤が相当弱体化しており、十分な体制が確保されているとは言い難い状況にあります。従って、国においては、産業界がITERへ参画するにあたって、本来の役割を発揮できるような施策をとっていただくとともに、産業界においてはこうした配慮を踏まえて、引き続き信頼を維持できるような状況を確保するとともに、でき得る限りのITER計画への協力体制を整備していきたい所存です。

以上



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