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WHO付属IARC(国際がん研究機関)のレポート
−15ヶ国の原子力発電所等放射線作業者における外部放射線被ばく健康影響についての疫学解析結果−について


 このほど、WHO(世界保健機関)付属IARC(国際がん研究機関)は、「Risk of cancer after low doses of ionizing radiation-retrospective cohort study in 15 countries(低線量電離放射線被ばく後のがんリスク−15ヶ国における後向きコホート研究)」をBritish Medical Journal誌上に論文発表しました。結論として「放射線業務従事者が受けた典型的な低線量・低線量率の被ばくにおいてさえ、小さくとも過剰がんリスクが存在することを示唆している」こと、および「当該コホートのがん死亡の1〜2%が放射線に起因するかも知れない」ことを挙げております。

 しかし、日本の専門研究機関であり、本調査へ日本からデータ・資料を提供した「財団法人 放射線影響協会 放射線疫学調査センター」は、「これらの結論を妥当と認めず、低線量放射線による明確な健康影響が見出されたとの性急な解釈、判断は、厳に慎むべきであると考える。」との見解を発表しておりますので、ご紹介いたします。

 また、同じく専門研究機関である財団法人 電力中央研究所 原子力技術研究所 低線量放射線研究センターは、本論文に加えて、米国科学アカデミーの電離性放射線の生物影響に関する委員会(Committees on the Biological Effects of Ionizing Radiation、BEIR)が、このたび発表した、低線量放射線の健康リスクに関する報告書についても解説しておりますので、こちらもあわせご紹介いたします。

コホート:疫学調査を行う場合の追跡を行う特定の集団のこと。「後向きコホート」とは、疫学調査を行う場合のコホートの一種で、すでに曝露が起こってしまった後で、事後的に(後向きに)、その集団を追跡調査し、因果関係を明らかにする後向きコホート研究で設定する集団のこと。

(財)放射線影響協会
2005/07/01 WHO-IARCからBMJに発表された論文「低線量電離放射線被ばく後のがんリスク−15ヶ国の後ろ向きコホート研究」について(詳細版)
http://www.rea.or.jp/ekigaku/kenkaisyousai.htm
2005/06/29 WHO-IARCからBMJに発表された論文「低線量電離放射線被ばく後のがんリスク‐15ヶ国の後ろ向きコホート研究」について
http://www.rea.or.jp/ekigaku/bmjkenkai.html
(財)電力中央研究所
http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/index.html
以上

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