JAIF

[原産 - Flash News]

新ドイツ環境大臣決定−ドイツの原子力の将来について

2005年10月14日


 9月の総選挙を受け、ドイツの2大政党による大連立が成立し、閣僚が決定した。

 キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)のアンジェラ・メルケルが首相に決定したが、原子力界の注目するところの環境大臣のポストは社会民主党(SPD)に譲られた。新大臣に指名されたヅィグマー・ガブリエルは、46歳の北ドイツ出身で、生粋の環境派ではないが、ゴアレーベンの高レベル放射性廃棄物処理事業に関しては、厳しい反対派として知られている。

 この人選を受け、一部では、前政権において採択された脱原発政策を継続させる意向が働いているとの憶測が出ている。しかも、ゴアレーベンにおける廃棄物処理事業が復活することも不可能との見方が強い。

 ドイツでは、環境ならびに原子力は連邦環境自然保護・原子炉安全省において管轄されるために、原子力は環境色の強い大臣の影響を受けやすい傾向にある。前任のトリッティン大臣は、環境派として脱原発政策を導いた人物である。

 宅間正夫・日本原子力産業会議副会長は、今回の人選を受け、ドイツの原子力政策が大連立のもと柔軟に対処されることを希望すると述べた。「地球温暖化問題を鑑みると、ドイツも新エネルギー重視の政策はともかくとし、原子力なしで温暖化ガスを削減しながら経済生活を送ることは不可能である。欧州の大国としてのドイツが、現実的なエネルギー政策を打ち出していくことを期待している」とした。


Copyright (C) JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. (JAIF) All rights Reserved.