仏EDFパリュエル原子力発電所FARN(原子力事故即応チーム)地域本部訪問2014年11月5日、当協会の服部理事長は、フランス北西部ノルマンディー地方にあるEDFパリュエル原子力発電所のFARN地域本部を訪問しました。 EDF(仏電力会社)のFARN(原子力事故即応チーム)は、パリに本部を置き、国内4ヶ所(シボー、ダンピエール、パリュエル、ビュジェイ)に地域本部があります。 パリュエル原子力発電所は、130万kWのPWRが4基設置されています。現在1号機は定期点検(30年目の点検)のため停止中でしたが、他の3基は定格出力で運転中でした。EDFの職員は2500〜2600名、外部職員が同程度の人数です。 Buzogany本部長は、15年間原子力潜水艦の艦長を務め、1年前にEDFのFARN要員の採用公募に手を挙げ、EDFに入社してFARNの立ち上げに関わりました。EDFは軍隊の経験をFARNに活かすことを考えているそうです。危機管理の際に重要なことはインスピレーション(方法論)。シナリオがない状況の中で、複数の回答を準備しながら状況判断し、ケースバイケースでの対応の指揮を行うのはプロ(その代表的な集団は軍隊)の参画が不可欠であって、その他にも消防隊の経験者も必要とのことでした。 <瓦礫撤去訓練>災害や事故があった際に、道路を塞いでいる瓦礫や木等の障害物を撤去する訓練を視察しました。この様な作業のプロである消防士に頼んで、木やコンクリート・鉄筋の切り方や撤去方法を教えてもらっていました。左の写真は木を切断し手でどける作業、右の写真は瓦礫を切断し四輪駆動に結んで引っ張ってどける作業です。FARNの四輪駆動車(下の写真)は衛星通信設備を搭載しており、本社といつでも連絡が可能です。パリュエルのFARNがカバーする別の発電所に出動するときは憲兵隊に先導してもらいます。 今回のFARN隊員には障害物撤去は始めての訓練だそうで、まだ作業に慣れていない様子が伺えました。2ヵ月間訓練するとのことです。FARNとして指名された職員は、1年の半分は発電所内での通常の仕事を行いますが、残り半分をFARNの訓練に費やすことで、連帯感が生まれるそうです。支度金は出ますが、給与等処遇が優遇されているわけありません。自ら志願する人と指名される人と割合は半々。訓練している隊員の中には女性もいました。 訓練はお城の敷地で行われており、城主としても切断した木が薪になるので歓迎しているとのことでした。 <建設中FARN建屋>敷地は62354u、建屋部分は997u。1ヵ月半後(12月)に完成予定。建屋のみで費用は400万ユーロ。FARNの全車両および全装備をここに収納し、機材の修理も行う予定です。出動の際隊員はまずここに来て着替え、憲兵隊の先導で発電所に向かいます。修理工場や部品等全てここで完結させ、管理もFARNが行います。 100kW発電機2台、ブルドーザー・リフター、通信設備等を積んだトラック3台、先導車1台が出動する実演が行われました。トラックは軍隊用の規格で、場所によりタイヤの空気圧の調整が可能です。トラックの運転は、FARN所属時に大型免許を取得した放射線技師が行っていました。ブルドーザーの運転は普段は工程管理をしている職員とのことです。 倉庫には、発電機、ブルドーザー・リフターのアタッチメント、冷却水用ポンプ、ヘリコプター着陸用マット、沸騰器等が置かれていました。発電機は1地方本部あたり100kWのものが10台あります。他にバンカー内にディーゼル発電機が原子炉1基につき1台。機器はまだ買い続けているため全額は確定していません。
FARN所長としての現在の最大の課題は何かと聞いたところ、EDFが自主的に計画し、配備したものであることから、(何としても)約束した2016年1月1日にソフト・ハードの両面で100%にするのが一番とのことでした。 以 上
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