■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【1】


 当協会では、原子力産業の基盤の1つでもあり、会員の皆様の事業経営にとって深い関わりのある原子力損害賠償制度(原賠制度)についてより良い理解を頂くため、このメールマガジンに原賠制度の情報提供をシリーズで行うコーナーを設けました。
 
 このコーナーでは、原賠制度に関わる種々の事柄をQ&Aの形で、ご紹介していきたいと存じます。

 近年、原子力エネルギーは地球温暖化防止対策の切札と言われ、これに関連したダイナミックな動きが世界中で見られます。
 
 原子力の安全には、常々、万全を期した諸対策が取られていますが、それと共に、万一の事故に備え、被害者の救済と原子力事業の健全な発達を目的として、多くの国で原子力損害に関する賠償制度が設けられています。
 
 つまり、原子力産業は、安全対策と賠償制度が一体となって、その安定が守られる仕組みになっているのです。

 我が国の原子力損害賠償制度に関する法律は、来年1月の施行を目指して改正される予定であり、改正内容等については既に原産新聞でもお知らせしています。

 ところで、あなたは「原子力損害賠償制度」についてこんな風に思っていませんか?
・ わが社は法律に基づいた賠償額を手当てしているので、全く心配はしていない
・ 事故の責任を取るのは原子力事業者だから機器メーカーのわが社には関係ない
・ 下請けとして部品を納めているわが社にはなじみのない話
・ 地元としては、この制度で被害者への十分な補償が得られると安心している
・ 損害賠償の話は、万事、弁護士の先生にお任せしているから大丈夫
本当に、それで大丈夫ですか?

 一旦原子力事故が起きてしまうと、膨大な額の損害賠償請求が発生する可能性があります。実際、JCO臨界事故では、放射性物質の飛散などが無かったにも関わらず、約七千件の損害賠償請求が事業者に対してなされ、その総額は150億円にものぼりました。

 万一の事故のとき、あなたの会社が納めた装置や部品が原因の事故と言われたら、損害賠償について、どのようなことを考えますか?

 原賠法にある「原子力損害は原子力事業者が賠償する」という制度をご存知かもしれません。しかしこれは日本の国内法です。事故による損害が国外に及んだ場合や国際輸送の事故など、どのような裁判が行われ、どのような賠償リスクを想定していますか?

 また、世界では原子力ルネッサンスと言われるほど原子力産業が注目されています。この波に乗ってあなたの会社が国際的にビジネスを展開しようとしたとき、あなたは海外での損害賠償リスクをどのように考えますか?

 次回以降では、上記のような様々な状況における原子力損害の賠償について考えることで、今まで見えなかった意外な賠償リスクに気づき、適切な対応の検討に役立てて頂ければと思います。シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。まずは、原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。

以上

お問い合わせは、政策推進第1部(03-6812-7102)まで