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■シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」【30】環境汚染への対処
A1.
【A1.の解説】 我が国の環境保全に関する事項は「環境基本法」(平成5年11月19日施行)に定められており、基本理念や、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務とともに、施策の基本となる事項が規定されています。これは、当時の環境問題の高まりを受けて制定された法律であって、原子力災害を想定したものではありません。 基本理念としては「環境の恵沢の享受と継承等」、「環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等」、「国際的協調による地球環境保全の積極的推進」について規定されています(第3〜5条)。 また責務規定として、国は「環境の保全に関する基本的かつ総合的な施策」、地方公共団体は「国の施策に準じた施策、区域の自然的社会的条件に応じた施策」を策定・実施する責務を有すること、事業者や国民は環境への負荷の低減や環境の保全に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有することが規定されています(第6〜9条)。 環境の保全に関する基本的施策について、施策の策定等に係る指針、環境基本計画、環境基準、特定地域における公害の防止、国が講ずる環境の保全のための施策等、地球環境保全等に関する国際協力等、地方公共団体の施策、費用負担等に関する規定があります(第14〜40条)。この中で費用負担について、公害等に係る支障を防止するために公的事業主体が実施する事業については、その事業の必要を生じさせた者に、費用の全部又は一部を負担させる、という原因者負担が規定されています(第37条)。また、自然環境保全のための事業実施により著しく利益を受ける者には、事業に関する費用の全部又は一部を負担させるという受益者負担の規定があります(第38条)。 また、国が講じる環境保全上の支障を防止するための規制(第21条)として、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、土壌汚染対策法などによる規制措置が規定されていますが、環境基本法においては「放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法 (昭和三十年法律第百八十六号)その他の関係法律で定めるところによる」(第13条)とされています。 放射性物質による汚染防止の措置は、原子炉等規正法による規制措置のほか、例えば、放射線量の測定や放射性物質の除染などについては原子力災害対策特別措置法の緊急事態応急対策および災害事後対策(第25〜27条)に規定されています。 「環境基本法」本文はこちら -----------------------------------------------------------------
A2.
【A2.の解説】 環境基本法による規定の範囲に含まれない放射性物質による環境の汚染への対処は、平成23年8月30日に公布された「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」(放射性物質汚染対処特措法)に規定されています。 放射性物質汚染対処特措法には、国の責務として、原子力政策を推進してきたことに伴う社会的責任に鑑み必要な措置を講ずること、地方公共団体の責務として、国の施策への協力を通じて適切な役割を果たすこと、関係原子力事業者の責務として、誠意をもって必要な措置を講ずるとともに国又は地方公共団体の施策に協力すること、国民の責務として、国又は地方公共団体が実施する施策に協力すること、が規定されています(第3〜6条)。 放射性物質により汚染された廃棄物の処理、放射性物質により汚染された土壌等の除染等は以下のように実施することとされています。
放射性物質汚染対処特措法の本文はこちら ○ 原産協会メールマガジン2009年3月号〜2010年9月号に掲載されたQ&A方式による原子力損害賠償制度の解説、「シリーズ『あなたに知ってもらいたい原賠制度』」の19回分を取りまとめ、小冊子を作成いたしました。 小冊子の入手をご希望の方は(1)送付先住所 (2)所属・役職(3)氏名(4)電話番号(5)必要部数をEメールで genbai@jaif.or.jp へ、もしくはFAXで03-6812-7110へお送りください。 シリーズ「あなたに知ってもらいたい原賠制度」のコンテンツは、あなたの声を生かして作ってまいります。原子力損害の賠償についてあなたの疑問や関心をEメールで genbai@jaif.or.jp へお寄せ下さい。 以上
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