IV.危機管理ワークショップ (前年度会員21名)
コーディネータ: 久米 均 氏 (中央大学理工学部経営システム工学科教授)
副コーディネータ: 棟近 雅彦 氏 (早稲田大学理工学部経営システム工学科教授)
- <コーディネータからのコメント>
- システムの開発では、技術的には、新しい機能の開発と性能の向上が主眼となる。しかし、システムの事故は、必ずしも機能的に重要な役割を果たす要素によって引き起こされるわけではない。機能がマイナーであるから事故の影響もマイナーとなるというわけでもない。危機管理においてはシステムの機能・性能ではなく、その弱点に焦点をあてなければならない。
原子力発電事業は多くの組織が相互に緊密に関連した一つの巨大システムとして運営されている。このような状況においては特定の部署だけが高度の品質管理を行っても、品質管理の弱い部署があればそこが足を引っ張ることになる。安全・品質を確保するためには、何が弱いかという観点からシステムを分析することが必要である。 事故の原因は業種・業態を超えて共通するものが大半である。このワークショップでは、原子力産業に限定せず、広く「危機管理」の問題を取上げ、原子力産業のみならず、より安全な社会を築くための安全学に取組んでいきたい。
研究項目
- 原子力分野の総合的安全システムの構築
- ソフト型の安全確保、安全学の構築、体系化、安全教育
- リスク認知心理学、リスク・コミュニケーション
- 情報管理・提供、マスメディア対応
- 危機発生のメカニズム分析
- 事故・失敗情報の知識化、共有化
- モラルハザード、組織要因
- 安全基準、法規制、自主規制
- 品質管理、保証、認定・認証制度、標準化、規格化 (ISO、JIS)
- 防災対策、社会との接点
- 機械、化学、交通、自然災害、医療、食品、環境、国家安全保障、テロ対策等の他分野の事例、原子力および上記他分野の海外事例
<平成13年度活動概要報告>
- 平成13年7月24日 (火) 13:30〜17:00 講演
- 1) 「安全学の構築に向けて」
- 久米 均 氏 コーディネータ (中央大学理工学部教授)
- 2) 「原子力の危機管理について」
- 佐々木 史郎 氏 (日本原燃(株) 顧問)
- 平成13年8月27日 (月) 13:30〜17:00
- 1) 講演:「国際水準から見た日本の危機管理」
- 小川 和久 氏 (危機管理総合研究所長)
- 2) 講演:「航空分野における事故事例と安全対策」
- 前根 明 氏 (元全日空機長)
- 平成13年9月18日 (火) 13:30〜17:00
- 1) 講演:「システムにおける人間と安全」
- 黒田 勲 氏 (日本ヒューマンファクター研究所長)
- 2) 講演:「最近の安全問題に思う」
- 田村 昌三 氏 (東京大学大学院教授)
- 平成13年10月23日 (火) 13:30〜17:00
- 1) 講演:「緊急被ばく医療のあり方について」
- 前川 和彦 氏 (原子力安全研究協会理事・放射線災害医療研究所長)
- 2) 講演:「ヒューマンファクター研究の取り組みと目指すべき方向」
- 河野 龍太郎 氏 (東京電力株式会社・原子力研究所)
- 平成13年11月29日 (木) 13:30〜17:00
- 1) 講演:「FBRサイクル実用化戦略調査研究の推進とリスク認識」
- 青野 忠純 氏 (核燃料サイクル開発機構大洗工学センター)
- 2) 講演:「暗号と電子署名法」
- 辻井 重男 氏 (中央大学理工学部情報工学科教授)
- 平成13年12月13日 (木)〜12月14日 (金) 見学会
- トヨタ自動車(株):本社工場、組立ラインコース他
- 三菱重工業(株):名古屋航空宇宙システム製作所
- 平成14年1月21日 (月) 13:30〜17:00
- 1) 講演:「21世紀のテロの動向」
- 加藤 朗 氏 (桜美林大学)
- 2) 講演:「食品分野における品質管理」
- 中村 明子 氏 (共立薬科大学)
- 平成14年2月25日 (月) 13:30〜17:00
- 1) 講演:「国際的な核物質防護の現状について」
- 八木 隆雄 氏 (核物質管理センター)
- 2) 講演:「核物質防護と危機管理」
- 中込 良廣 氏 (京都大学)
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