福島第一、2号機原子炉建屋上部全面解体へ
東京電力は11月26日、福島第一原子力発電所廃止措置の進捗状況を発表した。使用済み燃料プール内燃料と燃料デブリの取り出しに向けては、2号機について、原子炉建屋上部の解体・改造範囲について検討が行われ、作業の安全性、敷地外への影響、リスク低減の観点から、原子炉建屋最上階より上部の全面解体が望ましいとの判断に至った。
水素爆発を免れた2号機原子炉建屋は、オペレーティングフロア上部が残存しており、今後のプール内燃料と燃料デブリの取り出しに向けては、プール内燃料と燃料デブリをオペレーティングフロア上部に同一の架構を設置して取り出す「燃料デブリ共用コンテナ案」と、別の架構を設置して取り出す「プール燃料取り出し特化案」の2案を並行して検討・設計を進めることとしている。そのうち、「プール燃料取り出し特化案」については、上部解体範囲の異なる複数のプランを抽出し比較評価が行われたが、2案ともに原子炉建屋上部の全面解体が望ましいとされた。上部全面解体でも、1~4号機原子炉建屋からの放射性物質放出量の増分は、現在の放出量の変動の範囲と同程度に収まるものとしているが、今後、工事の詳細計画策定やモックアップによる検討も行い、さらなる評価を踏まえた上で工事に着手する。2017年度前半にも取り出しプランを選択することを念頭に、年度内にも解体・構造工事に入る予定だ。中長期ロードマップでは、使用済み燃料プールからの燃料取り出しは、2020年度の開始が目標とされている。
汚染水対策では、10月26日の海側遮水壁閉合以降、港湾内の海水中の放射性物質濃度に低下傾向が確認されており、効果が表れ始めている段階とみている。
使用済み保護衣などの雑固体廃棄物対策では、焼却設備の設置工事が完了し、11月25日より模擬廃棄物を用いた試験に入っている。今後、汚染のある実廃棄物を用いた試験も行った上で、年度内にも本格運用を開始する予定となっている。