浪江町と富岡町の居住制限区域と避難指示解除準備区域の解除が決定

政府の原子力災害対策本部は3月10日の会合で、浪江町と富岡町に設定されている居住制限区域と避難指示解除準備区域の避難指示解除を決定した。浪江町は3月31日、富岡町は4月1日、いずれも午前零時をもって解除となる。3月31日には、飯舘村と川俣町の居住制限区域と避難指示解除準備区域も解除されるため、今回の決定で、残る避難指示区域は、大熊町と双葉町のそれぞれ全域と、両町および南相馬市、富岡町、浪江町、葛尾村、飯舘村の7市町村にわたって設定された帰還困難区域に絞られることとなる。
浪江町と富岡町の避難指示解除に伴い、震災後不通となっていたJR常磐線の小高~浪江間が4月1日に、富岡~竜田間が10月目途に運転再開することとなった。
これに際し、原災対策本部の本部長である安倍首相は、東日本大震災から丸6年となる3月11日を前に、「復興は着実に前進している」とした上で、福島の復興・再生加速化に向けて、「福島イノベーション・コースト構想」の閣僚会議の今夏立ち上げ、安全かつ着実な福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策など、政府一体となって取り組むよう関係閣僚らに指示を出した。
環境省によると、1月末時点で、福島県内11市町村が指定される国直轄除染の「除染特別区域」(帰還困難区域を除く)のうち、9市町村で面的除染が完了しており、残る2市町(南相馬市、浪江町)についても3月末までに完了する見込みとなっている。また、除染で取り除かれる土壌の中間貯蔵施設予定地への輸送実績は、3月初頭時点で累計約21万立方mに上っており、2017年度は、今秋頃の貯蔵開始を目指し、特に学校に保管されている除去土壌を優先的に50万立方m程度輸送する計画だ。
なお、経済産業省では、福島第一の廃炉・汚染水対策、農産物の安全確保など、福島復興の現状を広く伝える広報動画の新作「福島の今 2017年春」の公開を3月10日より開始している。