原子力委員会 基本的考え方 廃止措置は放射性廃棄物の処理・処分と一体的に検討を
原子力委員会は3月16日、引き続き「原子力利用に関する基本的考え方」について盛り込むべき事項を委員間で意見交換した。今回は、廃止措置および放射性廃棄物への対応について議論した。
会合で示された重点的取り組みと方向性によると、まず、福島第一原子力発電所の廃止措置について、「リスク低減を旨として、国民と地元の理解を得ながら国内外の知見を集め、引き続き進めていくべき」とした上で、廃炉・汚染水対策とともに、放射性廃棄物の処理・処分に関する技術開発を合わせて行い、効率的かつ着実に進められることが重要だとしている。さらに、福島第一への対応を通じて得られた経験や技術が、今後の国内外における廃止措置に展開されることにも期待を寄せた。
また、廃止措置については、原子力発電所だけでなく、日本原子力研究開発機構や大学の研究炉も同様に、運転管理に携わった人材や他施設の経験も活用しながら取り組むとともに、廃棄物の処理・処分と一体的に検討し、適切かつ計画的に進めていくべきであるとした。
放射性廃棄物の処理・処分については、「発生させた現世代の責任として、将来世代に負担を先送りしない」との認識を改めて示した上で、必要な処分地の確保、クリアランスによる再利用の拡大、国民理解の醸成を喫緊の課題に掲げ、これらに対応すべく「全体的な進捗管理への国の関与をより強化することが必要」などと指摘している。今後の方向性としては、「発生者や発生源によらず、放射性廃棄物の性状に応じて一元的に処理・処分することが効率的かつ効果的である場合には、必要に応じ対応策を検討すべき」などと提言した。
なお、岡芳明原子力委員長は、廃止措置経験の継承および人材育成に関連して、調査の報告書をきちんと開示して検索性を改善するなど、情報提供をきちんと行っていくことの重要性に触れた。