規制委がJANSI松浦理事長を招き意見交換
原子力規制委員会は3月21日の臨時会議で、原子力安全推進協会(JANSI)の松浦祥次郎理事長を招き意見交換を行った。同委は、2014年4月にもJANSIと公開の場で意見交換を行ったことがあり、従前の日本原子力技術協会を刷新し2012年に発足したJANSIの理念や具体的取組について説明を受けている。その後、2014年10月より行われた規制委員会と12の原子力事業者トップとの安全性向上に関する意見交換が、16年12月までに2巡したことから、改めて自主規制組織としてのJANSIの取組について説明を求めることとなったもの。
松浦氏は、事業戦略の強化、安全性向上対策の強化、ピアレビューの質向上を図るべく7月に3本部制へと改編したことを紹介した上で、規制適合に満足せず世界最高水準の安全性の実現に努めるとともに、さらなる高みを目指す「エクセレンスの追求」をJANSIのミッションとして強調した。また、ピアレビュー結果を踏まえた発電所総合評価システムの本格導入、再稼働プラントの支援、海外機関との連携強化、規制機関との補完的関係構築、人材確保・育成などを当面の重要課題としてあげた。
これに対し、更田豊志委員が、「事業者がJANSIをどうとらえているか。またJANSIの活動は社会から見えにくいのでは」と述べたのに対し、松浦氏は、「これは創立した日からの課題」と応え、JANSIが手本とした米国原子力発電運転協会(INPO)の活動が軌道に乗るまでを振り返り、「先ず信頼関係を作り上げ、いかに社会に受け入れられるか」などと、模索中であることを示唆した。さらに、松浦氏は、「施設が長く止まっていると、どうしても安全文化の指標が下がってくる傾向がある。現場ではまだ規制要求に応じればよいという意識が消えていない」とも懸念し、「絶対に手をゆるめるわけにはいかない」と、今後も強力に事業者の自主的安全性向上活動を牽引していく姿勢を示した。
この他、田中俊一委員長が新検査制度導入に向け規制側と相補的な体制が構築されることを求め、伴信彦委員がJANSIにおける人材確保対策について尋ねるなどした。