日仏首脳会談で、高速炉協力の深化などを盛り込む「原子力協力意図表明」署名
3月19~21日に欧州を歴訪した安倍首相は、20日、フランスでオランド大統領と会談し、両国間の友好関係の拡大を確認するとともに、その場で行われた世耕経済産業相とロワイヤル環境・エネルギー・海洋相による「民生用原子力協力に関する意図表明」への署名をともに歓迎し、原子力安全、核燃料サイクル、高速炉、廃炉などにおいてさらなる協力を進めていくことで一致した(=写真、©経産省)。
日仏間の原子力分野における産業協力と共同研究開発の強化を目指す「民生用原子力協力に関する意図表明」では、冒頭、温室効果ガス削減の国際枠組み「パリ協定」の締結を歓迎し、「安全性の確保を大前提として、CO2を排出せずに、供給信頼性が高く経済的なエネルギーへのアクセスを提供し、気候変動の悪影響を軽減する」と、原子力の役割がうたわれた。その上で、「世界の原子力安全、核セキュリティおよび核不拡散」、「核燃料サイクル」、「高速炉」、「廃炉および除染」、「産業協力」、「核融合エネルギー」のそれぞれについて、取り組むべきことを記している。
高速炉については、「高速炉およびそれに関連する核燃料サイクルの分野において長い協力の歴史を有する」とした上で、フランスで開発が進められている高速炉(実証炉)「ASTRID」に関する日仏間協力の進捗を確認し、さらに深化させるための議論を開始することとされた。日本側では、2016年12月に原子力関係閣僚会議が決定した「高速炉開発の方針」において、「国際ネットワークを利用した最先端知見の吸収」が原則の一つに掲げられており、「ASTRID」による協力に関しては、高速炉特有の技術課題の解決に向け、要素技術の開発を相互分担しながら進めていくとしている。
産業協力については、核燃料サイクル事業を行うニュー・アレバ社への出資に関するフランス政府、アレバ社、三菱重工、日本原燃との間での法的文書への署名に関して、「六ヶ所再処理工場およびMOX向上の円滑な稼働および安定した運営に向けたより力強い協力に資するもの」などと歓迎している。
また、安倍首相は、今回の歴訪で、フランスの他、訪問先のドイツ、ベルギー(EU)、イタリアでの各首脳会談で、福島県産の食品輸入規制の撤廃を要請した。