規制委、運転期間延長認可に係る申請時期の見直しへ
原子力規制委員会は6月28日、原子力発電プラントの運転期間の延長審査について、現在「40年の運転期間満了前1年以上1年3か月以内」とされている申請時期に関する規定を見直す考えを示した。
1月に行われた規制委員会と主要原子力事業者との意見交換で、事業者側が、運転期間の延長認可を申請できる時期が限定されていると、対策工事に要する期間が延長期間に食い込み、実際の運転期間が縮小してしまうことから、申請時期の見直しを求めていた。2016年6月に60年までの運転期間延長が認可された関西電力高浜発電所1、2号機では、対策工事に約3年を要すると見込まれており、今後の後続プラントについて、申請時期を見直すことで、運転期間満了前からの計画的かつ、安全・確実な対策工事を実施できるとしている。
一方、規制委員会では、運転期間の延長認可申請に必要な事業者による特別点検の実施時期を「運転開始から35年以降」などと、設備の劣化状況評価に関する技術的要件を規定しているが、今後の見直しに向けた考え方の中で、これらは従来通りとし、申請時期の始期(運転期間満了の1年3か月前)を削除して、事業者による書類が完成した段階で申請できるものとしている。同委では、こうした考え方をもとに、運転期間延長認可に係る規定類の具体的改正案の検討を進めていく。
1月の規制委員会と主要原子力事業者との意見交換では、事業者側より、原子力発電が直面する課題として、(1)再稼働、(2)稼働率の向上、(3)40年超運転、(4)新増設・リプレース――があげられた。その上で、運転期間延長審査について、事業者側は、申請可能時期の他、実際に運転できる期間を十分確保できるよう、審査・工事などに伴い停止する期間を運転期間から除外することも求めている。
原子力発電プラントの運転期間延長については、関西電力高浜1、2号機の他、同美浜3号機が2016年11月に60年までの延長認可を取得している。また、2018年11月に運転期間が40年に達する日本原子力発電東海第二発電所では、運転期間延長認可の申請に必要な設備の経年変化に対する安全性評価を5月より進めているところだ。