マグウッドOECD/NEA事務局長 日本の立場を活かした国際協力求める
福島第一廃炉国際フォーラム(7月2、3日)などに出席するため来日していたW.D.マグウッドOECD/NEA(経済協力開発機構/原子力機関)事務局長は7月4日、原子力委員会の定例会議に招かれ、岡芳明委員長らと意見交換を行った。マグウッド事務局長は、第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF)など、3つの国際イニシアティブの事務局を務めていることなど、OECD/NEAの主な活動を紹介した。また、NEAが将来に向けて、多国間の協力により新技術の早期導入を促すために進めている「原子力イノベーション2050」の動きにも触れた。
これまでの日本の原子力・エネルギー政策に関して、マグウッド事務局長は、「中央政府のコミットメントも強く、財政面でも問題がなくインフラも整っている。国際協力の面でも貢献度が高い」などと高く評価した。さらに、福島第一原子力発電所事故に伴う停滞については、「現在は将来のヴィジョンについて立ち止まって考える時期」として、「日本の決定を世界が注目している」などと大いに期待を寄せた。また、日本の原子力分野の専門家たちについては「経験豊富で技量も高く国際会議の場でも一目置かれる存在」と述べ、技術面での国際的プレゼンスを評価し、今後の多国間での取り組みにおける活躍を強く求めた。
将来のエネルギー・経済に関して、マグウッド事務局長は、まず「電気自動車などの普及で電力需要は増えていくことが見込まれ、安価で安定した電気を豊富に利用可能であることが原子力業界の競争力となる」と述べた。その上で、原子力の役割については、「過去とは違う新たな世界に突入していく」として、イノベーションの積極的な推進や協働体制の整備などを一層強化していく必要があるだろうと展望した。
マグウッド事務局長は同日、資源エネルギー庁の高速炉開発に関する会合にも招かれ意見陳述を行っている。