原産協会「原子力新年の集い」開催、今井会長「人材確保・育成」の必要性を強調
原産協会の「原子力新年の集い」が1月8日、東京プリンスホテル(東京・港区)で開催され、会員企業等、政府関係、駐日大使館などから約900名が参集し、新しい年の幕開けを慶び親睦を深め合った。
冒頭、挨拶に立った今井敬会長(=写真上)は、新規制基準をクリアし再稼働を果たしたプラントが9基に留まっている現状を述べた上で、2018年にBWRとして初めて運転期間の延長認可を得た日本原子力発電東海第二の再稼働に関し、「実現には時間を要するかもしれぬが、是非とも進めなければならない」と強調した。さらに、原子力の安全性向上に向けて昨夏発足した産業界全体で課題解決を図る仕組み「原子力エネルギー協議会」(ATENA)について、知見・リソースの結集を通じた活動で再稼働にも拍車がかかることに期待感を示した。
また、今井会長は、気候変動問題の解決に向け原子力の有用性を訴える一方、厳しい世論の高まりや将来的な人材不足について懸念した上で、小型モジュール炉(SMR)開発による次世代層への関心喚起の可能性などに触れながら、今後原産協会として、(1)地域・国民理解、(2)人材確保・育成、(3)国際協力――の推進に取り組み、原子力産業の発展を目指す考えを述べた。
来賓挨拶に立った関芳弘経済産業副大臣は、「福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策は最重要課題」との認識を改めて示したほか、昨夏閣議決定されたエネルギー基本計画を踏まえ、2050年に向けて「脱炭素化の選択肢」たる原子力については「技術、人材、産業基盤の維持・強化に直ちに取り組む」などと、「責任あるエネルギー政策を着実に進めていく」考えを強調した。
また、電気事業連合会の勝野哲会長は、早急に再稼働できるよう原子力規制委員会の審査に対し全力で対応するとともに、「資源の安定確保のため核燃料サイクルは極めて重要」との考えから、六ヶ所再処理工場操業に関わる全面的支援や、高レベル放射性廃棄物の最終処分の実現に向けた地域との対話活動などに真摯に取り組む姿勢を示した。
平成最後の「原子力新年の集い」に際し、乾杯の音頭に立った車谷暢昭副会長(東芝会長)は、「時代も大きく変わろうとしている。『新しい原子力の時代』を進めていきたい」と呼びかけ、参集した一同は杯を上げた(=写真下)。