規制委と電力の原子力部門責任者らが新検査制度などをテーマに意見交換

2019年1月10日

 原子力規制委員会は1月10日、関西電力の森中郁雄常務執行役員、中部電力の倉田千代治副社長らと意見交換会を行った。個別の審査案件とは切り離し電気事業連合会の要望を踏まえ随時行われているもので、技術的検討も含めたテーマに応じ1、2名の委員、原子力規制庁幹部、電力会社の原子力部門責任者が公開の場で話し合う。

原子力規制委員会による新検査制度試運用視察の模様(関西電力大飯発電所にて、写真は原子力規制委員会提供)

 前回8月に行われた意見交換会以降の動きとして、今回は、2020年度の本格運用開始を見据え10月より試運用が進められている新検査制度について、森中氏が事業者の立場から状況を説明した。現在、試運用は3月末まで、(1)検査ガイド類の現場活用における問題点の抽出・改善、(2)各検査の所要時間やサンプル数の適正化――などをねらいとするフェーズ1の段階にあり、12月末までに12プラントで実績が積まれた。森中氏は、これまでの試運用を振り返り、事業者側と規制側のそれぞれについて、「規制機関のお墨付き主義に陥る懸念」、「被規制者の見解に影響される可能性」があるなどと所感を述べた。
 これを受け、プラント関連の審査を担当する山中伸介委員は、「事業者側と規制側の適切な信頼関係が必要」として、さらに習熟を図るフェーズ2(2019年4~9月)に向け改めてコミュニケーションの重要性を強調した。また、新制度導入に伴う意識の変革に関する伴信彦委員からの問いかけに対し、森中氏は、原子力事業者全般の年齢構成の現状について触れながら「若手にはすぐ浸透しても、高齢層にとっては簡単ではないと思う。やはり現場できちんと話し合うことが重要」などと応えた。
 前回の意見交換会でも取り上げられた7月発足の「原子力エネルギー協議会(ATENA)」について、倉田氏が最近の取組状況を説明し、「規制側との一元的なカウンターパート」の役割、技術課題として検討を進めている自主ガイドと他の学協会規格との整合性に関して意見が交わされた。ATENAでは、規制委員会との対話に向けて電事連のワーキンググループとの役割分担を、自主ガイドとしては今春発行予定でサイバーセキュリティに備えた対応方針取りまとめを進めている。
 この他、規制側からの要望として、山中委員が、昨今関心が高まっている非常用ディーゼル発電機のトラブル対策や、プラント本体審査以降5年間の猶予が与えられている「特定重大事故等対処施設」について適切な対応を求めるなどした。