日立が経営戦略説明会、原子力は「社会インフラを支える重要な事業」と強調

2019年6月5日

 日立製作所は6月4日、報道関係者や投資家に向け同社の経営戦略を披露する「Hitachi IR Day 2019」を開催し、東原敏昭社長(=写真)が2021年度までの3か年を見通した「2021中期経営計画」を発表するとともに、各セクターの統括者らが事業の方向性について説明した。
 冒頭、東原社長は、「2021中期経営計画」の説明の中で、「社会価値・環境価値・経済価値の提供」、「人々の生活の向上、顧客企業の価値の向上」を目指す同社の経営姿勢を強調。また、ITやエネルギーなどの重点分野に対し、今後3年間で2.0~2.5兆円の成長投資を図り、「『社会イノベーションは日立』と呼ばれるよう取り組んでいく」と意欲を示し、各セクターからの事業説明につなげた。
 エネルギー事業の分野では、西野壽一副社長が「2018中期経営計画」(2016~18年度)の実績を振り返った上で、今後成長分野への集中やコスト構造改革を図り、2021年度の売上収益は2018年度の4,235億円を大きく上回る1兆7,000億円超を目指すとした。その中で、原子力事業については、福島第一原子力発電所廃炉に関わる最先端技術の開発や早期再稼働に向けた新規制基準対応工事など、「日立の強みを活かし」着実に推進していくとしている。
 原子力事業の長期的展望について記者から問われたのに対し、西野副社長とともに説明に臨んだ小田篤専務は、「社会インフラを支える重要な事業」との位置付けを改めて述べ、「経営環境は決して楽ではないが、ITサービスを原子力に適用するなど、収益だけではなく社会への貢献を視野に取り組んでいく」と強調した。