原産協会・高橋理事長がプレスブリーフィング、IAEA総会報告など
原産協会の高橋明男理事長は9月26日、月例のプレスブリーフィングで、同日発表の 理事長メッセージ「原子力イノベーションの促進と安全規制」、および16~20日に開催されたIAEA総会の概要について説明した。
理事長メッセージでは、2019年度の経済産業省新規事業「社会的要請に応える革新的な原子力技術開発支援事業補助金」の採択事業者がこのほど決定・公表されたのを受け、新型炉開発が先行する北米の取組を紹介した上で、こうした支援策に加え、安全規制面でも規制当局の早期関与を得ることにより、新型炉開発が円滑に進むよう期待している。例えば、SMR開発に力を入れているカナダでは、原子力安全委員会(CNSC)の「許認可前ベンダー設計審査」(VDR)提供などにより、効率的に安全審査が進むことが見込まれている。
また、IAEA総会(9月17日既報(1)、(2))への出席については、先の内閣改造で入閣した竹本直一科学技術政策担当大臣による政府代表演説が行われたほか、多くの出席者から7月に逝去した天野之弥事務局長への哀悼の意とともに、同氏の3期10年にわたる在任中の功績に対する敬意の声が寄せられたことを述べた。
記者からは、フランスの高速炉「ASTRID」の開発中断に関する報道について質問があり、高橋理事長は、同国の原子燃料サイクルの方向性に変わりはないとした上で、「これまでのフランス側との議論の中で色々な課題があげられており、検証していかねばならない」との認識を示した。
「ASTRID」は、当初電気出力60万kWの実証炉として計画され、2014年より日仏間での開発協力が開始しているが、2018年6月に資源エネルギー庁の高速炉開発に関する戦略ワーキンググループで、フランス原子力・代替エネルギー庁より、規模を10~20万kW程度に縮小して実施する新たなプログラムが示された。