エネ庁委員会、福島第一処理水に関する風評対策を議論
福島第一原子力発電所の処理水に関する資源エネルギー庁の委員会は9月27日、前回8月の会合で示された貯蔵継続に係る事実関係を整理した上で、風評被害への対応策を議論した(=写真)。
前回の会合で、東京電力は、多核種除去設備(ALPS)により浄化された処理水の保管状況とタンクの建設計画から、2022年夏頃に貯留水が満杯となる見通しを示したほか、今後の廃炉作業に必要となる敷地利用や、敷地外保管の可能性について説明した。
これを踏まえ、27日の会合では、福島第一原子力発電所周辺への敷地拡大の可能性や敷地の有効活用などについて改めて整理。委員から質問の出ていた発電所に隣接する中間貯蔵施設(除去土壌等)予定地への敷地拡大に関し、資源エネルギー庁は、国が地元や地権者の方々に説明し受け入れてもらっている関係上、「難しい」とした。また、東京電力は、廃炉の進展に伴い2020年代後半にかけて設置を検討する8施設の概ねの整備時期を示した上で、貯留水タンクエリアの効率化や廃棄物処理作業の進捗などにより、空き地ができる可能性があるとして、「現在の福島第一の敷地内で廃炉作業をやり遂げる」と強調。
風評対策に関して、資源エネルギー庁は、「貯蔵を継続する中でも、処分を行う際にも、風評への影響を最小限度に抑える対応策を検討することが必要」などとした上で、(1)具体的な懸念を抱く層への情報提供・丁寧な説明、(2)流通・消費の実績を見せることで不安を払拭、(3)流通関係者への働きかけ、(4)新商品開発・新規販路開拓、(5)海外への対応――との素案を提示した。また、東京電力からは、国内外で実績のある海洋放出と水蒸気放出について、風評抑制に向けた設備対応の検討状況が説明された。
委員からは、「漁業復興の時間軸も十分考えるべき」、「海外メディアから誤解を招かぬよう」といった意見があった。