電気事業者が地球規模のCO2削減で長期ビジョン、2030年以降に向け革新的技術
国内電気事業者47社で構成される「電気事業低炭素社会協議会」は10月2日、2030年度以降を見据えた地球温暖化対策に係る 長期ビジョン を発表した。
2016年に設立された同協議会では、政府が示す2030年度のエネルギーミックスに基づき、同年度にCO2排出係数0.37kg/kWh程度とする数値目標を掲げ、電気事業全体で実効性ある地球温暖化対策の推進を図っている。2019年6月には、「2050年までに80%の温室効果ガス排出削減」に取り組むとするパリ協定長期成長戦略が閣議決定されており、協議会でも2050年に向けて、今後の電気事業における地球温暖化対策に関し会員事業者勉強会開催などを通じ検討を進めてきた。
こうした状況を踏まえ、長期ビジョンでは、2030年度以降の大幅なCO2排出削減に向けて「イノベーションが不可欠」との考えから、従来から取り組んでいる「電気の低炭素化」(供給サイド)と「電化の促進」(需要サイド)の各観点から、CO2排出削減のために期待される革新的技術をまとめた上で将来の絵姿を示した。
原子力による電力供給では、安全確保を大前提とした再稼働と核燃料サイクルの推進に加え、革新的技術として、小型モジュール炉(SMR)、溶融塩炉、高温ガス炉、核融合炉を列挙。SMRについては過疎地域への導入や需要増に合わせたモジュール増設の可能性を、高温ガス炉については高い発電効率や熱電併給システムの構築などをメリットとしてあげている。
この他、地上に比べて自然条件に左右されない宇宙太陽光発電、エネルギー密度と安全性を両立する全固体リチウムイオン電池、火力発電で排出されるCO2を再利用するCCU技術や、運輸・産業・民生の各部門での高効率な電化技術の推進、海外貢献として低炭素型インフラ技術の輸出などがあげられており、これらの取組を通じ、「地球規模でのCO2排出削減」を目指すとしている。