原産協会が女性シンポ開催、気象予報士の手塚悠介氏らを招きテーブルトーク
原産協会は10月10日、会員組織に所属する女性を対象としたシンポジウムを日本工業倶楽部(東京千代田区)で開催。気象予報士の手塚悠介氏と慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授の遠藤典子氏による講演、少人数ごとのテーブルトークなどが行われた。
「電力多消費時代におけるエネルギー政策」と題して講演を行った遠藤氏は、人類史上、蒸気機関、電力・モーター、コンピューターがそれぞれ引き起こしてきた第1~3次産業革命に続き、AIやロボットなどによるイノベーション創出が「第4次産業革命」をもたらしているとした。ビジネス創出やサービスの多様化が進む一方で、インターネットの普及やデータ量の急増が電力消費量を拡大させるとも指摘。例えば、モバイル端末で操作できるエアコンなどのネットワーク家電製品が待機時に消費する電力量が2015~25年で約6倍にも膨れ上るほか、電気自動車の普及も中国の牽引により加速化するとした。日本のエネルギー政策に関しては、「第4次産業革命」により電力消費が増加する中、中東への石油依存、原子力発電の廃炉と設備容量の見通し、温室効果ガス排出量の推移、電源別発電コストなどのデータを示し、ある選択をすることで別のことが犠牲になる「トレードオフ」関係を意識する必要性を強調した。
講演を受け参加者はテーブルトークに臨み質問事項をまとめた。折しも大型台風接近が危ぶまれていたが、「台風の進路予想の精度は上がるのか」という質問に対し、手塚氏は「コンピューターの性能アップや観測ポイントの精緻化で向上するだろう」としつつも、近年激しさを増す異常気象の状況から「過去のデータが役立たないかもしれない」と懸念した。また、将来の電源構成に関して、遠藤氏は、大災害が頻発する現状、石炭・石油に関わる利便性とそれらを巡る金融市場の動き、原子力に対する社会受容の問題などを概括した上で、「技術を維持するためにも、当面はすべてのエネルギー源を利用するしかないのでは」と述べた。