原子力産業新聞

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規制委、シビアアクシデント対応能力向上に関し電力本部長クラスと意見交換

18 Oct 2021

規制委員会(左側)と電力の原子力部門幹部が意見交換(インターネット中継)

原子力規制委員会は10月15日、電力会社の原子力部門責任者を招き、シビアアクシデント対応能力の向上に向けた教育・訓練の取組について聴取し意見交換を行った。

現在5基のプラントが再稼働している関西電力からは、原子力事業本部長の松村孝夫氏が出席。同氏は、シビアアクシデント対応能力向上のポイントとして、(1)いざというとき実際に対応できる、(2)災害が起きたときに誰でも対応できる、(3)指揮者がリーダーシップを発揮できる――ことをあげ、法定の訓練以外に同社が工夫した自主的訓練を数多く実施しスキルアップに努めているとした。その中で、関西電力グループの原子力安全システム研究所(INSS)がメンタル面でのスキル向上のため開発した「たいかん(体感、体幹)訓練」について紹介。人文系の専門家による助言も受け緊急時のリーダーシップを高めることを目的とした「間違った情報も輻輳する状況を設定し、いかにパニックに陥らないか」を学ばせる訓練プログラムで、2016年度以降、発電所当直の責任者らを対象に年4回程度実施しているという。

中部電力原子力本部長の伊原一郎氏も、技術力以外のリーダーシップやコミュニケーション能力「ノンテクニカルスキル」強化の取組について説明。訓練実施中の「状況に関わる情報をメモしているか」、「落ち着いた態度で発話しているか」、「他者の発言を遮らずに傾聴しているか」などを指標とした行動観察シートによる評価・分析などを示した。

規制委員会からは、事業者・発電所間を通じた良好事例共有の重要性が述べられるとともに、判断プロセスの理解やコミュニケーション能力の向上に関し、訓練におけるロールプレイの有効性が、「立場が変われば見えるものも変わってくる」などと示唆された。

川内1・2号機の特重施設説明(九州電力発表資料より引用)

この他、九州電力原子力発電本部長の豊嶋直幸氏が、原子力発電プラントについて定期検査終了後6か月以内の実施が求められている「安全性向上評価」を巡る課題や、テロなどに備えた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)に関する情報公開について説明。九州電力では川内原子力発電所1・2号機で特重施設が運用を開始している。特重施設の詳細については、セキュリティ上、規制委員会の公開会合でも一般向けの資料中にマスキングが施されるなど、明らかにされていないが、地元やマスコミから情報公開を求める意見が寄せられていることから、同社では、原子力規制庁との調整を踏まえ、開示可能な情報を整理した概念図を作成し対外説明を行ってきた。このほど、従前の概念図に加え設置目的・経緯、運用・訓練の概要などを付記し、より内容を充実した資料を作成し提示。規制委員会では今後も、特重施設に関する情報公開のあり方について、セキュリティと透明性のバランスにも留意し議論していく。

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