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モハメッド国連副事務総長が上智大で講演、COP26に向けて1.5℃目標を強調

29 Oct 2021

講演を行うモハメッド国連副事務総長(インターネット中継)

上智大学は10月20日、国連副事務総長のアミーナ・モハメッド氏によるオンライン講演会を開催した。

2030年までに世界が目指す「持続可能な開発目標」(SDGs)を主導するモハメッド氏は、講演の中で、今必要な行動として、(1)新型コロナのパンデミックを終わらせる、(2)貧困をなくす、(3)不平等を取り除く、(4)カーボンニュートラル社会を実現する、(5)SDGsに向けて新たなパートナーシップを構築し誰一人取り残さないようにする――ことをあげた。

気候変動の問題に関しては、10月31日から英国グラスゴーで開催されるCOP26に向けて、「地球の温度上昇を産業革命前と比べて1.5℃未満に抑える」ことを確認・強化しなければならないとした上で、低炭素技術を開発・実行するとともに、異常気象に対する強靭性を高めていく必要性を指摘。ナイジェリアの環境大臣として環境保全政策をリードした経験を持つ同氏は、日本に対し、「気候変動や災害リスク低減の分野でイノベーションを主導していることは重要」、また、「『核兵器を決して使ってはならない』と世界に訴えてきた日本を誇りに感じて欲しい」などと述べた。

海外の学生たちも交え意見交換(インターネット中継)

「国連の活動には若い人たちの関わりが重要」と話すモハメッド氏は、海外の学生も交え意見交換。マレーシアの学生が「インターネットに接続するにも木に登って機材を設置しなければならない」と、途上国の農村部におけるオンライン教育の現状について述べたのに対し、モハメッド氏はまず、「世界では今、教育の質が危機に瀕している。未来に備えしっかりした教育制度が必要」と強調。世界的な新型コロナ拡大の中、オンラインを通じた教育やビジネスの普及を評価する一方で、「世界の皆がつながることが重要だが、第一に電気を利用できない人たちもいる」と、電力インフラの課題を指摘し、SDGsの「誰一人取り残さない」精神のもと、全ての人々がエネルギーにアクセスできることの重要性を訴えた。また、2050年までのカーボンニュートラルに関して、石炭のフェードアウトや、トランジション(脱炭素社会実現のための移行期)を早めていく必要性にも言及。この他、日本、スペイン、コロンビア、リベリアの学生から、環境活動家への迫害、政治への軍事介入、人口・高齢化問題、児童労働などに関する意見・質問もあがった。こうしたグローバルな課題に対する関心の高まりを歓迎し、モハメッド氏は、「是非声を上げて欲しい。情熱、理想、創造力、決意、不屈の精神があればSDGsを実現できる」と、エールを送った。

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