岸田首相が国会演説、需給を一体的にとらえた「クリーンエネ戦略」の推進を述べる
06 Dec 2021
岸田文雄首相は12月6日、同日召集された臨時国会で演説を行った。10月の衆議院解散、総選挙を経て、新内閣発足後、初の所信表明となる。
岸田首相は、新型コロナの感染状況が鎮静化している国内の現状に関して、「屋根を修理するならば日が照っているうちに限る」というケネディ元米国大統領の名言を引用し、先般決定した財政支出55.7兆円の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」をスピード感を持って推し進め、日本経済を回復軌道に乗せていく決意を表明。その上で、11月の新内閣発足に際し示した基本方針、(1)新型コロナウイルス対策、(2)新しい資本主義の実現、(3)国民を守り抜く外交・安全保障、(4)危機管理の徹底、(5)東日本大震災からの復興・国土強靭化――で取り組む施策について述べた。
「新しい資本主義の実現」に向けては、「成長と分配の好循環」を標榜。成長戦略として、科学技術によるイノベーションを掲げ、大学改革・大学発のベンチャー創出、デジタル田園都市国家構想の具体化による地域活性化などに取り組むとした。気候変動問題については、「新たな市場を生む成長分野へと大きく変換していくもの」と強調。「2050年カーボンニュートラル」、2030年度の温室効果ガス46%排出削減の実現を目指し、「再生可能エネルギー最大限導入のための規制の見直し、クリーンエネルギー分野への大胆な投資を進める」と述べ、送配電網のバージョンアップ、蓄電池導入の拡大、火力発電のゼロエミッション化に向けたアンモニア・水素への燃料転換を図るとともに、技術・インフラを通じたアジアの脱炭素化にも貢献するとした。また、エネルギー政策に関して、「需給両面を一体的にとらえ、『クリーンエネルギー戦略』を進める」と明言。
外交・安全保障の関連では、「核兵器のない世界に一歩でも近付くよう、核兵器国と非核兵器国との信頼と協力の上に現実的な取組を進めていく」と述べ、核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議で意義ある成果を出せるよう、米国を始めとする関係国と連携し積極的役割を果たしていくとした。
東日本大震災からの復興に向けては、「地元の声に寄り添い、引き続き全力で取り組む」と強調。浜通り地域に整備する「国際教育研究拠点」構想に言及し、わが国の科学技術・産業競争力の強化にもつながるよう、政府一丸となって長期・安定的な運営の実現を図るとした。同拠点設立に関する法案は、次期通常国会への提出が予定されている。