原子力産業新聞

海外NEWS

スウェーデンのOKG社、オスカーシャム原子力発電所で製造した水素を販売へ

21 Jan 2022

2045年まで60年間の稼働が予定されているオスカーシャム3号機 ©OKG

スウェーデンでオスカーシャム原子力発電所(BWR、145万kW)を運転しているOKG社は1月20日、同発電所で製造した余剰の水素を市場で販売することになったと発表した。同社はすでに最初の販売契約を国内のガス会社と締結済みであり、今年の早い時期に販売を開始する予定である。

発表によるとOKG社はこれまで、同発電所の1~3号機が発電した電力を使って、発電所に接続した(水の電気分解方式による)水素製造プラントを操業。これら3基の配管の応力腐食割れリスクを軽減するため、冷却水に水素を注入してきた。しかし、経済性の低下した1、2号機を2017年までに永久閉鎖したことから、水素の製造能力が過剰になり、同社は余剰水素を他の目的に活用することを決めたもの。同社はこの決定により、「オスカーシャム市は化石燃料を使わないグリーン水素を、原子力発電で提供するスウェーデン最初の自治体になる」と強調している。

OKG社のJ.ルンドベリCEOによると、市場で販売する水素は最初は比較的少量だが、同社は発電所と関係インフラ、および専門的知見を有しているため、この事業の拡大に向けた優れた潜在能力を有している。水素の需要量は今後、次第に伸びていくと予想されることから、OKG社に約55%出資しているドイツのUniper社、および約45%出資するフィンライドのフォータム社は、ともに同社のこの事業を強力に支援する方針である。

OKG社はすでに、この水素製造プラントを最新化するため新しいシステムを導入したほか、運転の長期化に向けてその他の機器も取り換える予定。Uniperスウェーデン支社のJ.スベニングソンCEOは、「フォータム社とともに水素市場を一層大きく成長させていきたい」と述べており、「スウェーデンの主力電源は水力と原子力なので、化石燃料による発電電力は実質的に使われない」と指摘。スウェーデンではこのように、グリーン水素を大量に製造する条件が整っており、同国が電源の脱炭素化をさらに進めていく上でもこれらは重要な役割を担うと強調した。

(参照資料:OKG社の発表資料(スウェーデン語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの1月20日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

cooperation