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英国、HTGR実証炉建設計画の入札に先立ち産業界と情報交換

24 Feb 2022

©BEIS

英国のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は2 月16日、「先進的モジュール式原子炉(AMR)の研究開発・実証プログラム」の下で2030年代初頭までに高温ガス炉(HTGR)の実証炉を建設するため、原子力産業界と事前の情報交換を行うと発表した。

建設計画の「フェーズA」として、BEISは今年の春にも正式な入札招請(ITT)を開始するとしており、それに先駆けて関係情報を収集するのが主な目的。同プログラムの詳細と建設計画の指標となる概略的なスケジュールを提示した上で、資機材と燃料のサプライチェーン、機器製造や建設工事の関係企業、高温熱のエンドユーザーなど、HTGR開発に関心を持つ潜在的なサプライヤーから3月4日までの期間に要望や意見を聞き、実際の調達活動に備える方針である。

BEISは2021年7月、「AMRの研究開発・実証プログラム」における初号機として、1億7,000万ポンド(約265億円)の予算でHTGRを建設する計画を発表。この提案は、CO2排出量の実質ゼロ化に向けた重要施策としてB.ジョンソン首相が2020年11月に公表した「緑の産業革命に向けた10ポイント計画」、および翌12月に英国政府が発表した「エネルギー白書」で約束した施策である。

これらは、2050年までに英国がCO2排出量の実質ゼロ化を目指すにあたり、政府がHTGRを最も好ましい技術と認識していることを示したもので、2021年12月にBEISは、2030年代初頭の実証を目指して建設するAMR技術のひとつとして、HTGRを正式に選択したことを明らかにした。今回の発表でも、BEISは同プログラムの目的について、「低炭素な水素製造や様々な産業界で利用する高温熱の生産、コスト面の競争力がある発電等でHTGRの高温熱が役に立つと実証することだ」と説明している。

同プログラムの概略スケジュールによると、「フェーズA」の段階では今年の春以降、最大250万ポンド(約3億9,000万円)をかけて、6~9か月間にわたり基本設計(FEED)関係の予備調査5件を実施する。入札招聘も実施してBEISはHTGR実証炉の概念をまとめるほか、研究開発上の課題や技術課題を特定して、その実行可能性を探る。また、2030年代初頭の完成を念頭に置いた開発ロードマップも作成する。

これ以降の段階に進むには政府の承認取得が条件になるが、BEISは2023年初頭から「フェーズB」として、詳細設計の基礎となるFEED調査を実施する。ここでは、「フェーズA」で選定された複数の提案者がHTGRの概念設計を詳細に評価し、投資総額やライフサイクル・コストを正確に見積もる予定。BEISは「フェーズA」で選定されなかった提案者も含めて、提案者の最終的な絞り込みを行うとしている。

最後の段階となる「フェーズC」への移行は2025年の半ばに予定されており、「フェーズB」で選定された提案者が建設サイトに最適の詳細設計作業を実施する。サイト許可や建設許可なども取得する方針で、これらの許認可活動が順調に進めば、計画通りにHTGR実証炉の起動と運転が実現する。

(参照資料:英国政府の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月17日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

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