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英国で建設中のHPC 1号機、送電開始時期を1年延期

23 May 2022

1号機の原子炉建屋で今年3月に設置された鋼製の内張りリング ©EDF Energy

フランス電力(EDF)は5月19日、英国子会社のEDFエナジー社が同国で約20年ぶりの原子力発電所として建設しているヒンクリーポイントC(HPC)発電所(172万kWの欧州加圧水型炉=EPR×2基)について、1号機の送電開始日程を前回2021年1月の予測からさらに1年先送りし、2027年6月に設定したと発表した。

総工費に関しても、建設プロジェクトの最終投資判断(FID)を下した2016年9月当時、EDFエナジー社は196億ポンド(約3兆1,400億円)と試算していたが、2019年9月にこの数値を215億~225億ポンド(約3兆5,200億~3兆6,000億円)に改訂。2021年1月時点の見積もりでは220億~230億ポンド(約3兆5,300億~3兆7,000億円)に拡大しており、今回の日程先送りにともなう金額は250億~260億ポンド(約4兆~4兆1,700億円)に増加した。しかしEDFは、「同プロジェクトでは差金決済取引(CfD)[1] … Continue readingが適用されるため、英国民が支払う電気代に影響はない」と強調している。

2018年12月の1号機着工以降、EDFエナジー社はコロナ禍においても建設を継続。2019年12月には2号機の建設工事も開始し、EDFは適宜スケジュールとコストを見直している。

その結果、同社は2021年1月に、1号機で当初予定していた送電開始を2025年末から2026年6月に延期すると発表、今回はその日程をさらに先送りする判断を下した。また今後、新たな感染拡大の波やウクライナでの戦争がこれ以上影響を及ぼさないと仮定した場合でも、これら2基の作業がさらに15か月遅延する可能性があると指摘。今回の見直し作業においては、電気機器関係の作業と最終試験のスケジュールとコストは考慮しなかったとしている。

コロナ禍で建設工事を継続した成果として、EDFは「サプライチェーンの健全性が保たれたほか、いくつかの重要な節目の作業が完了した」と指摘した。しかし、人的資源や資金、サプライチェーンが大きな制約を受けたのも事実であり、作業効率が低下。作業量などが増加し、延期の要因になったという。

なお、同プロジェクトで次に実施する節目の作業として、EDFは2023年第2四半期に格納容器ドーム屋根の吊り上げと設置を予定している。

(参照資料:EDFエナジー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月20日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

脚注

脚注
1 電力取引において、売電側と買電側で事前に一定の「行使価格」を設定。電力市場価格が行使価格を上回った場合、売電側がその差額を買電側に支払う一方、電力市場価格が行使価格を下回った場合は、買電側がその差額を売電側に支払う。

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