原子力産業新聞

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革新炉WG、炉型ごとの技術ロードマップ示す

29 Jul 2022

革新炉導入に向けた技術ロードマップ:革新軽水炉の例(資源エネルギー庁発表資料より引用)

総合資源エネルギー調査会の革新炉ワーキンググループ(座長=黒﨑健・京都大学複合原子力科学研究所教授)は7月29日の会合で、これまでの議論の中間整理となる「カーボンニュートラルやエネルギー安全保障の実現に向けた革新炉開発の技術ロードマップ」(骨子案)を概ね取りまとめた。近く同WGの上層となる原子力小委員会に報告される。〈配布資料は こちら

同WGは、「2050年カーボンニュートラル」実現に向けた海外動向や原子力全体のサプライチェーン維持・強化の必要性を踏まえ、「原子力発電の新たな社会的価値を再定義し、わが国の炉型開発に係る道筋を示す」ことを目的に、4月より国内研究機関・メーカーの他、米国の原子力規制委員会(NRC)や原子力エネルギー協会(NEI)とも意見交換をしながら検討を行ってきた。

中間整理案では、革新軽水炉、小型軽水炉、高速炉、高温ガス炉、核融合炉について、2040~50年以降を見据え、導入までの時間軸をイメージした開発工程(研究開発、設計、製作・建設、運転など)を示す技術ロードマップを提示。また、これまでの議論から、「開発の方向性(時間軸)が不明瞭」、「具体的プロジェクトの不在、予算・制度支援の不足」、「開発体制の不備、サプライチェーンの脆弱化」、「開発活動の低下」という革新炉開発を巡る「悪循環」を指摘。その対応として、

  1. 革新炉開発に係る方向性の明瞭化
  2. 開発予算・施設の整備
  3. 革新炉開発を支える事業環境の整備
  4. 開発の司令塔機能の強化
  5. サプライチェーンの維持・強化

――をあげた。

委員からは、小野透氏(日本経済団体連合会資源・エネルギー対策委員会企画部会長代行)が、先般首相官邸で開かれた「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」など、エネルギー安定供給を巡る議論の高まりにも言及しながら、「新増設・リプレースに取り組む上でも、安全性向上が期待される次世代炉は国民の安心感向上につながる」と主張。その上で、革新炉開発に向けて、安全性に係る国民理解の醸成や諸外国に遜色のない予算措置を図っていくべきとした。

また、高木直行氏(東京都市大学大学院総合理工学研究科教授)は、原子力人材育成に関わる立場から、革新炉開発の技術ロードマップに一定の評価を示す一方で、「バラバラ感」があると指摘。溶融塩炉などの研究開発にも関わった経験を持つ同氏は、炉型による燃料濃縮度の違いなどに言及し、他炉型を相互に関連させた導入シナリオやバックエンド政策を検討していく必要性を強調した。

この他、新増設・リプレースとの関連性、次世代層への理解促進、司令塔機能における国・研究機関・企業の役割に関する意見が出された。

これに続き同日は、高速炉開発会議の戦略ワーキンググループが、2018年12月の「戦略ロードマップ」決定以来、およそ3年半ぶりに会合を開催。戦略WGでは、

  1. 安全性・信頼性
  2. 経済性
  3. 環境負荷低減性
  4. 資源有効利用性
  5. 核不拡散抵抗性、
  6. 柔軟性・その他市場性

――に係る高速炉サイクルの開発目標を提示。今後の議論に資するものとして革新炉WGの中間整理が参考配布された。

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