スロバキアで建設中のモホフチェ3号機に運転認可
29 Aug 2022
モホフチェ原子力発電所 © Slovenské electrárne
スロバキア原子力安全局(ÚJD)は8月25日、スロバキア電力(SE)が建設中のモホフチェ原子力発電所3号機(ロシア型PWR=VVER、47.1万kW)に対し、運転認可を発給した。
ÚJDの検査官があらゆるシステムや機器について、広範囲に実施した点検や試験、分析作業の結果、同炉が技術面や法制面の要件をすべてクリアし、試運転の実施準備が整っていることが確認された。ÚJDはこれと同時に、建屋の使用や放射性廃棄物と使用済燃料、および放射性物質の取り扱いに関する認可も発給しており、これらはÚJDが発表してから15日目に有効となる。そのため、SE社は有効となったその日に3号機に燃料集合体を装荷し、起動に向けた作業を進めていく。
同炉の準備状況についてはまた、国際原子力機関(IAEA)が実施した「運転開始前安全評価レビュー(Pre-OSART)」や、世界原子力発電事業者協会(WANO)の専門家によって評価済みとなっている。
SE社は1987年1月、同型設計の3、4号機を本格着工したものの、格納容器がないタイプの第2世代のVVERであったため、安全性の改良とそれにともなう資金の調達問題で、両炉の建設工事は1992年から約16年間中断した。2008年11月に工事が再開した際、主要機器はチェコのスコダ社が供給する一方、計装制御(I&C)系については仏アレバ社(当時)と独シーメンス社、タービン発電機のエンジニアリングやプロジェクト管理に関してはイタリア電力公社(ENEL)が担当することになった。
2016年12月になって、SE社は3、4号機の運転認可と関係する許可の発給をÚJDに申請したが、申請書の不備やオーストリアの反原子力団体の抗議活動により、発給に時間がかかったようだ。
3号機の燃料はすでに新燃料用の貯蔵庫で保管されており、モホフチェ発電所のM.ムラズ所長は「燃料の装荷後に同炉は起動段階に入り、18週間かけて出力を徐々に100%まで上げていく」と説明。フル出力で144時間にわたる試運転も含め、この段階で様々な起動試験を実施するほか、送電網への接続は定格出力の20%の段階で実施する方針である。SE社のB.ストリーチェク会長は、「新たな原子炉の起動は当社やスロバキアにとって非常に大きなニュースであり、エネルギーの供給危機にある現時点ではとりわけ、重要な節目になる」と評価した。
SE社の発表によると、同社が昨年中に生産したエネルギーの98%は、主にモホフチェとボフニチェ2つの原子力発電所(合計で50万kWのVVER×4基)の貢献により無炭素だった。3号機が運転を開始すれば、年間260万トンのCO2排出が抑えられ、同国における総エネルギー需要の約13%をカバー。国外から電力を輸入し始めた2007年以来、同国は初めて電力を自給できるようになる
(参照資料:ÚJD、スロバキア電力の発表資料(スロバキア語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月26日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)