原子力産業新聞

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エネ研が2020年度の需給見通し、特重施設の設置期限に伴う影響も分析

24 Dec 2019

日本エネルギー経済研究所は12月23日の研究報告会で、2020年度の経済・エネルギー需給見通しを発表した。

それによると、一次エネルギー国内供給は、経済活動の緩やかな拡大の一方で、製造業の減産や省エネの進展により、2019年度、2020年度ともに前年度比0.4%減となる見通し。そのうち原子力については、2019年度は再稼働がなく同1.8%減の610億kWhに、2020年度は4基が再稼働するものの、テロ対策の特定重大事故等対処施設が設置期限までに完成しないことにより3基が停止し同4.1%増の635億kWhとなるとしている。

石炭については、近年の横ばい傾向が2019年度後半からの石炭火力の新設に伴い、2020年度には同2.4%増に転じると分析。石油と天然ガスについては、2020年度までほぼ同じ割合で減少を続ける見通しが示された。

現在、建設中も含め計12基の原子力発電プラントについて新規制基準適合性に関わる審査が進められており、また、再稼働が先行した九州電力の川内1号機が2020年3月に、同2号機が5月に特定重大事故等対処施設の設置期限を迎える。今回の研究報告では、同施設の未完に伴うプラント停止がないと仮定したケースについても評価を行い、基本ケースに比べて、化石燃料輸入額は600億円減、エネルギー自給率は0.5ポイント改善、CO2排出量は300万トン削減などと試算された。その上で、2020年度以降も特定重大事故等対処施設の設置期限を迎えるプラントが増えることから、「機能的な審査を通じた再稼働の円滑化は、わが国の3E(経済、安定供給、環境)にとって重要」と指摘している。

同研究所原子力グループマネージャーの村上朋子氏は、原子力発電の展望と課題に関して取りまとめた研究報告の中で、これまでに再稼働した9基について、新規制基準適合性に関わる審査書案が了承されてから発電再開まで平均約1年5か月を要したと分析。こうした再稼働までのリードタイムや運転期間延長に向けた審査申請の動きなどを、2020年以降も注視していく必要があるとしている。

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