米ホルテック社 SMRで現代建設と協力拡大
24 Oct 2022
協力の拡大で両社は新たな協定に調印した。 ©Holtec International
米国のホルテック・インターナショナル社は10月19日、同社製小型モジュール炉(SMR)「SMR-160」の商業化に向けた標準設計の完成と、米国その他での同炉の建設プロジェクトを加速するため、韓国の現代E&C社(現代建設)との協力関係を拡大すると発表した。
ホルテック社の「SMR-160」は、ポンプやモーターなどの駆動装置を必要としない、最大出力16万kWのPWR型SMR。同炉の開発については、米エネルギー省(DOE)が2020年12月に「先進的原子炉設計の実証プログラム(ARDP)」で支援対象の一つに選定したほか、カナダ原子力安全委員会(CNSC)が同炉について、「予備的設計評価(ベンダー設計審査:VDR)」の第一段階を2020年8月に完了している。
ホルテック社はニュージャージー(NJ)州で保有する旧オイスタークリーク原子力発電所サイト、あるいは南部2州の候補サイトで「SMR-160」の初号機建設を計画しており、2021年11月に両社が事業協力契約を締結した際、現代建設は発電所BOP(主機以外の周辺機器)の詳細設計や発電所全体の建設仕様書を作成することに合意。ホルテック社の主要なEPC(設計・調達・建設)契約企業として、協力していくことになった。
両社が結成したチームは、ホルテック社が開発中の「高エネルギー発光太陽集光器」やクリーンエネルギーの貯蔵・分配システム「グリーン・ボイラー」を「SMR-160」と組み合わせて、「クリーンエネルギー・エコ・システム」を早急に開発する必要があるとの認識で一致。18日付で新たに結んだ協力協定を通じて、両社は多様なクリーンエネルギー技術の開発を迅速化する考えで、米国の建設企業であるキーウィット社や日本の三菱電機からも協力を得ながら、各段階の承認手続き等の短縮化に向けて、大規模な修正が要らない標準設計を完成させ、世界中の多くの地域で「SMR-160」を建設していく方針である。
昨年に事業協力契約を締結して以降、両社のチームは世界のクリーンエネルギー市場でリーダーとなるべく、「SMR-160」の設計・エンジニアリングや商業化に向けた緊密な共同作業を通じて協力関係を強化。「SMR-160」を中心に据えた「エコ・システム」で15か国以上の国に電力や地域暖房用の熱を供給できるよう、同炉と「グリーン・ボイラー」の建設に向けて協力。両社はまた、原子力発電所の廃止措置事業についても連携協力を進めており、ホルテック社がニューヨーク州のインディアンポイント原子力発電所で進めている廃止措置に現代建設の従業員を派遣、原子炉の解体から使用済燃料の取り扱いと管理に至るまで、廃止措置全体の業務に参加させている。
今年7月には、ホルテック社は4基の「SMR-160」建設に向けて、NJ州キャムデンにある先進的機器製造プラントの能力を拡大し、同炉の大量製造工場とするため、米エネルギー省(DOE)の融資保証制度に74億ドル規模の申請書を提出した。同社はさらに、電気事業者であるエンタジー社の複数サイトで「SMR-160」を建設する実行可能性調査の実施に向け、同じ月にエンタジー社と了解覚書を締結している。
現代建設のユン・ヨンジュン社長兼CEOは、「クリーンエネルギーを供給する事業チャンスの模索から計画立案、実際の建設に至るまで、当社はあらゆる段階で総合的ソリューションを提供する企業となるための、大きな一歩を刻んだ」と指摘。原子力設備の廃止措置市場に参入することにより、同社は原子力発電所のライフ・サイクル全般にソリューションをもたらす企業に生まれ変わると強調している。
(参照資料:ホルテック社、現代建設(韓国語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月20日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)