原子力委員会が人材育成で北海道大学他よりヒア
26 Dec 2019
原子力委員会による大学ヒア、来月にかけ計4回実施される
原子力委員会は12月24日の定例会合で、2018年2月に取りまとめた人材育成に関する見解のフォローアップとして、北海道大学、九州大学、東京大学よりそれぞれヒアリングを行った。
北海道大学からは、工学研究院教授の小崎完氏が招かれ原子力教育の現状と課題について聞いた。同氏によると、原子力関係の学科・専攻は、原子工学科が2005年の改組で機械工学科と統合し「機械知能工学科」となり、大学院組織もこれと時期を同じくして1971年開設の原子工学専攻の流れを汲む量子エネルギー工学専攻と機械科学専攻とが、「機械宇宙工学」、「人間機械システムデザイン」、「エネルギー環境システム」、「量子理工学」の4部門に再編。近年中に、新たな組織再編が見込まれており、学科・専攻の改組に先立ち2020年度には旧原子工学科に属していた教員陣による「応用量子科学部門」が組織される予定。
学科の改組により原子力教育は科目が大幅に減少し学生の関心も低下し続けているという懸念の一方、大学院教育では、主専修科目に加え副専修科目を履修させる「双峰型教育」を特色もあるとして、今後の組織再編で何らかの改善が期待される見通し。原子力関連の教員数削減も進む中、小崎氏は、文部科学省の補助によるウェブサイト公開の講義録「オープン教材」の作成・活用、テレビ会議システムで道内の他大学を結んだ放射線に関する教養科目の開設など、通信ネットワークを活用した取組を紹介した。
九州大学からは工学府教授の出光一哉氏が、東京大学からは工学系研究科教授の笠原直人氏が説明。出光氏は北海道大学と類似した流れを持つ原子力関係学科・専攻の変遷やアジア地域を中心とする留学生の動向、笠原氏は自身がヘッドとなる「原子力国際専攻」のカリキュラムにおける産学官連携科目の拡充やIAEA/INMA(International Nuclear Management Academy)による認証を通じた「原子力マネジメント学」の強化などを紹介した。