原子力産業新聞

国内NEWS

総合エネ調原子力小委 運転期間を含めアクションプラン提示

29 Nov 2022

今回の会合では、6つの柱からなる原子力政策の方向性・アクションプランが示された(資源エネルギー庁発表資料より引用)

総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会(委員長=山口彰・原子力安全研究協会理事)は11月28日、「今後の原子力政策の方向性と実現に向けたアクションプラン」について議論した。〈配布資料は こちら

同日の会合で、資源エネルギー庁は、8月に行った中間論点整理などを踏まえ、立地地域との共生、国民各層とのコミュニケーションの深化、再処理のプロセス加速化に関し、これまでの議論の状況と対応の方向性を整理。合わせて、原子力利用政策の観点からの運転期間のあり方として、前回11月8日の会合で示した

  1. 現行の原子炉等規制法の規定を維持
  2. 特段の上限規制を設けない
  3. 一定の運転期間上限は設けつつ、追加的な延長の余地を勘案

――の3案について、委員からの意見を踏まえた検討の視点として、

  1. 科学技術的観点(安全規制)からの整合性
  2. 福島第一原子力発電所事故の反省・教訓を踏まえた運転期間制限の趣旨
  3. 国民・立地地域の理解確保
  4. エネルギー安定供給の選択肢確保
  5. 次世代革新炉の開発・建設との関係
  6. 事業者やステークホルダーにとっての予見性

――を提示。

これらの視点による評価から、将来の見直しを前提として、3案のうち「一定の運転期間上限は設けつつ、追加的な延長の余地を勘案」をベースとする方向性を示した。

この運転期間の取扱いに関する仕組みの整備については、「今後の原子力政策の方向性と実現に向けたアクションプラン」の案文に盛り込まれ、現行通り、運転期間は40年、延長を認める運転期間は20年を目安とし、いわゆる「時計を止める」制度設計として、東日本大震災発生後の

  1. 法制度の変更
  2. 行政命令・勧告・行政指導等(事業者の不適切行為によるものを除く)
  3. 裁判所による仮処分命令等、その他事業者が予見しがたい事由

――に伴って生じた運転停止期間については、カウントに含めないこととされた。実際、2013年の新規制基準施行直後に審査が申請され未だ再稼働していないプラント、司法判断を含む事由によりおよそ2年にわたり停止したプラントもある。

*今回の同小委員会で、専門委員の原産協会・新井史朗理事長は書面で意見を表明しました。

cooperation