「IYNC2022」が郡山で開幕 世界から若手原子力関係者が参集
30 Nov 2022
「IYNC2022」に登壇する原産協会・新井理事長(中央)
原子力業界の若手を対象とした世界最大規模の国際会議「IYNC(国際青年原子力会議)2022」(主催=日本原子力学会若手連絡会)が11月27日、福島県郡山市内のホテルで開幕した。12月2日まで、世界各国から概ね39歳以下の若手原子力関係者ら約350名(オンライン参加も含む)が参集し、コミュニケーション・人材戦略、イノベーションなどをテーマに話し合うほか、少人数でのワークショップではロールプレイングやカードゲーム体験を通じ参加者同士の交流も深める。
「IYNC」は、原子力平和利用の促進や世代・国境を超えた知識継承を目的に、2000年以来隔年で開催。30か国から300名以上が参加しており、英語での発表経験や人的ネットワーク構築の機会ともなっている。今回、当初はロシア・ソチでの開催が予定されていたが、昨今の情勢を踏まえ、急遽、日本で初開催されることとなった。福島第一・第二原子力発電所の見学や、廃炉・汚染水対策について考える福島特別セッションも設定。原子力発電所の高経年化対策や長寿命運転などの機運を背景に、ベテラン技術者と若手との世代間ネットワークの強化も視点となっている。
11月28日のキーノートセッションで講演を行った原産協会の新井史朗理事長は、「IYNC2022」がテーマとして掲げる「You are the Core」を改めて強調し、「これから10年、20年、それ以降の世界の原子力利用を盛り立てていって欲しい」と、将来の原子力産業における若手の活躍に期待。また、日本の原子力政策の動きを紹介した上で、「原子力の価値を生かすために必要なアクション」として、早期再稼働、運転期間の延長、新増設・リプレース、研究・開発をあげた。そのアクションを着実に進めていくため、原子力産業界がクリアすべき課題として、予見性の確保、「ものづくり基盤」とサプライチェーンの強化、海外における原子力発電に対する価値の見直しに加え、若い年代層とのコミュニケーションの必要性に言及。「若手の方々や、今後の原子力技術・産業の担い手となる学生など、若い層へ原子力の価値の浸透を図ることが重要だと考える。学生には、原子力産業が有望な職業であることを確信してもらい、原子力を将来の職業として考えてもらえるよう訴えたい」と述べた。