政府「GX実行会議」が基本方針まとめる 「原子力の活用」を明記
23 Dec 2022
GX実行会議に臨む岸田首相(官邸ホームページより引用)
政府の「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議」(議長=岸田文雄首相)が12月22日に開かれ、「GX実現に向けた基本方針 ~今後10年を見据えたロードマップ~」を取りまとめた。「2050年カーボンニュートラル」の目標達成に向け、エネルギー、全産業、経済社会の大変革を実行すべく、7月より検討を行ってきたもの。
岸田首相は、8月に行われた同会議で、「再生可能エネルギーや原子力はGXを進める上で不可欠な脱炭素エネルギー」との考えのもと、あらゆる方策について年末までに具体的結論を出せるよう検討の加速化を指示していた。
今回決定された基本方針の中で、原子力については、「エネルギー安全保障に寄与し脱炭素効果の高い電源」とされ、最大限活用することを明記。「2030年度電源構成に占める原子力比率20~22%の確実な達成」に向け、安全最優先で再稼働を進める。次世代革新炉の開発・建設については、廃止を決定した炉の建て替えを対象に具体化を進めていき、その他については、今後の状況を踏まえて検討していくとしている。運転期間の延長については、従来の「40年+20年」の原則を維持した上で、「一定の停止期間(新規制基準への対応など)に限り追加的な延長を認める」とされた。
原子力政策の関連で、岸田首相は、高レベル放射性廃棄物の処分地選定に関して、「文献調査の実施地域の拡大を目指す」と発言。翌23日には最終処分関係閣僚会議が開催され、同会議議長の松野博一官房長官は、関係閣僚が連携し具体的な対応方針を取りまとめるよう指示した。
西村康稔経済産業相は、22日の「GX実行会議」終了後、臨時記者会見を行い、「国民から幅広く意見を求め、丁寧な説明に継続して取り組んでいく」と述べ、パブリックコメントを早急に実施し、GX実現に向けた関連法案を年明けの通常国会に提出することを明言した。
今回の基本方針決定を受け、電気事業連合会の池辺和弘会長は、コメントを発表。「再生可能エネルギーや安全を大前提とした原子力発電の最大限活用、火力発電の脱炭素化、電化の推進など、安定供給確保とカーボンニュートラルの実現に向け、あらゆる対策を講じていく」としている。